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アルコール依存症

アルコール依存症とは

アルコール依存症の症状

●渇望と飲酒行動

本来、飲酒してはならないような状況でも感じることがあるような強い飲酒欲求を「飲酒渇望」と呼びます。アルコール依存症の患者さんは、この強い渇望にさいなまれます。
飲酒行動は「コントロール障害」と表現されます。飲み始めの時のつもりより、時間的に長く飲んでしまう、量を多く飲んでしまう、などが頻繁に認められます。コントロール障害の典型は連続飲酒です。
コントロール障害の最も大切なポイントは、長期に断酒していても、再飲酒すればほどなくコントロールできなくなってしまうことです。これは再発準備性とも呼ばれ、依存症の最も重要な特性のひとつです。アルコール依存症の患者さんが生涯断酒を続けなければならない最大の理由はこの点にありますが、その機序解明は遅れています。

 

●離脱症状

離脱症状は、古くは禁断症状と呼ばれ、中枢神経がアルコールに依存している証拠とされています。通常、血中アルコールの濃度がゼロになる前から症状が現れます。 表2のように、軽~中等度の症状では自律神経症状や精神症状などがみられます。重症になると禁酒1日以内に離脱けいれん発作や、禁酒後2~3日以内に振戦せん妄がみられることがあります。前者は入院患者さんの約10%に、後者は約30%に既往が認められます。

 

●心因特性

アルコール依存症の心理的特徴として挙げなければならないのは、否認と自己中心性(※2)です。アルコール依存症の治療は、本人がまず問題の存在を認め、その問題を解決するためには、断酒を選択するしかないことを受け入れることから始まります。したがって、否認の適切な処理は、治療の成否を決める大きな要因となります。

※否認と自己中心性
否認は、本人が問題をまったく認めないか、または過小評価する状況を指し、多くの患者さんがこの特徴を示します。具体的には、嘘をつく、他と比較して自分の問題を小さくみせる、揚げ足をとる、ふてくされる、理屈をつける、などとして表現されます。 自己中心性とは、物事を自分に都合のよいように解釈し、ほかの人に配慮しないことです。これらの心理的特性は、飲酒を続けるために後からつくりあげられたものであることがほとんどです。

 

●アルコール依存症の精神症状・行動異常

 

多くの家族は、本人の記憶など認知機能の障害よりは、精神状態や行動異常の問題をきっかけとして受診を決心されます。暴言・暴力、徘徊・行方不明、妄想などが問題になりやすいものです。こうした問題は数カ月から数年にわたって持続し、在宅介護ができなくなる直接原因になりがちです。

 

 

 

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