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理事長ブログ

理事長の一言  「精神科医療の新しい話題」は下にスクロールして下さい。

第26回日本ストレスケア病棟研究会参加報告

 第26回日本ストレスケア病棟研究会が、令和6年11月2日(土)に千葉県しのだの森ホスピタルさんの主催で開催されました。五稜会病院からは筆者含め、看護師長、心理室主任、精神保健福祉士の4人が参加しました。前日には、病院見学もありました。研究会の会場は病院ではなく、千葉駅近くのホテルで開催され、参加者は100人くらいでした。研究会テーマは、「ストレスケア病棟に今求められるもの あるべき姿を探って~ストレスケア病棟のアイデンティティとは~」です。午前は、理事長/院長先生から「ストレスケア病棟のアイデンティティとは?~愛着の観点からみた精神科医療~」、病棟師長から「なごみ病棟看護の力~愛着アプローチの実践~」、ホリスティック推進担当主任からの「なごみ病棟におけるホリスティックの役割」の講演でした。午後は、10代思春期の症例検討会でした。8-10人のグループ検討、発表が行われました。
 しのだの森ホスピタルさんでは薬物に偏らず、心理療法、東洋医学、自然療法、栄養療法、音楽療法など、あらゆる角度から自然治癒力を高めるホリスティック医療を実践しています。会場には参加者へのアロマセラピーやサウンドヒーリングなどの体験コーナーもありました。
 日本ストレスケア病棟研究会の会員病院は全国で18施設、北海道では五稜会病院が唯一です。例年、会員病院が持ち回りで研究会を開催しています。
 五稜会病院では、平成29年10月に第22回日本ストレスケア病棟研究会を多目的ホールを舞台に開催しました。当時のテーマは、「ストレスケア病棟を中心としたメンタルケアプログラムの実践」でした。これまでに、福岡県不知火病院さん、岐阜県養南病院さん、福井県松原病院さん、福島県あさかホスピタルさんなど多数の病院が幹事当番を担っており、それぞれの病院が工夫を凝らしています。数年後には、五稜会病院で開催することになるのかもしれません。

パリ2024オリンピック/パラリンピック

 第33回オリンピック競技大会が、2024年7月26日~8月11日までフランス・パリを中心に開催されました。パリでオリンピックが開催されるのは1900年、1924年に続き3回目。実に100年ぶりです。日本人選手も大活躍しました。金メダル20個は海外の大会では史上最高、メダル総数45個も最高でした。北海道出身の選手も大活躍です。旭川出身の北口榛花選手が、女子やり投げ決勝で65m80cmをマークし、金メダルを獲得しました。 オリンピックの女子のフィールド種目で日本選手がメダルを獲得するのは初めてのことです。素晴らしい!!
 パリオリンピックの後は、パリ2024パラリンピック競技大会が、8月28日から9月8日までの12日間、開催されます。パラリンピックは、国際パラリンピック委員会(IPC)が主催する、身体障害者(肢体不自由:上肢・下肢および欠損、麻痺)、脳性麻痺、視覚障害、知的障害を対象とした世界最高峰の障害者スポーツの総合競技大会です。国際オリンピック委員会(IOC)と違う組織です。どうして、パラリンピックはオリンピックの後に開催するのでしょうか。開会式や閉会式も別々です。障害者の差別のない共生社会を目指すのであれば、一緒に開催すべきです。また、パラリンピックの対象者は、身体、知的、精神の三障害のうち精神障害は入っていません。統合失調症や双極性感情障害の選手はいません。精神疾患は、三障害の中では特別なものになっています。
 さて、ここで提案。IOCとIPCを統合して、オリンピックとパラリンピックの同時開催ないしは、パラリンピックをオリンピックに吸収させるのはどうでしょうか。例えば、オリンピックの柔道は体重別になっていますが、それに加えてパラリンピックの柔道の視覚障害枠を入れるのです。肢体不自由、視覚障害、知的障害のクラス分けがあるパラリンピックの水泳は、オリンピックの一般とは別枠のクラスで同時に開催すれば良いと思います。こんな考えはどうでしょうか。 

第120回日本精神神経学会学術総会が札幌で開催される

 令和6年6月20日(木)~22日(土)の3日間、札幌コンベンションセンターにて第120回日本精神神経学会学術総会が開催されました。精神科の中では最も大きな権威のある学会です。参加登録者数は過去最高の9,000人を超えました。令和元年に同じく札幌コンベンションセンターで開催され、中島が実行委員長を務めた日本精神科病院協会(日精協)の第8回日本精神科医学会学術大会では約1,500人でした。日精協の学会との違いは、規模の大きさと参加者が精神神経学会では医師が中心でコ・メディカルは少ないことです。
 本学術総会の会長は札幌医科大学神経精神科河西千秋教授、副会長は札幌花園病院松原良次名誉院長とともに中島公博が務めました。COVID-19等の社会環境や個人史によりもたらされるストレス、個体に内在するリスク等により引き起こされるメンタルへルス不調が行きつく最も悲劇的な結末は自殺です。対人支援職者であり、幸いなことに生業を維持することができている私たちは、これらの歴史的事象を目の当たりにして、日々の業務に励むのはもちろんのこと、あらためて、自らの存在意義や果たすべき役割について自らに問うべきところにいるのではないかということで、学会テーマは「真に役立つ精神医学」でした。
 副会長としての役割は、学術総会前日の6月19日(水)にエルムガーデンで行われた会長招宴(三村將学会理事長等が参加)の乾杯の挨拶と学会2日目6月21日(金)コンベンションで行われた懇親会での乾杯の発声でした。学会本体では、児童思春期の一般演題の座長を行いました。また、五稜会病院から千丈雅徳顧問が「五稜会病院ストレスケア病棟の今日まで そして明日から」というテーマでポスター発表をしております。
 学会に参加することで、最新の精神科での話題を見聞きし、そして何よりも発表者の熱意から今後の診療の取組へのモチベーションが高められました。
令和6年7月1日 中島公博

「令和6年4月1日、五稜会病院入職式」

 令和6年、新年度になって、たくさんの社会人の新人と転職して五稜会病院に入職した方々の入職式が行われました。その時の挨拶を紹介致します。
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 新しく五稜会病院に入職した皆さん、本日はおめでとうございます。早く持ち場の仕事に慣れて、患者さんのため、自分のため、病院のために頑張っていただきたいと思います。
 さて、4月は、診療報酬の改定があります。今年は、障害福祉サービスの診療報酬と介護報酬のトリプル改定となっております。診療報酬は0.88%の増と医療を取り巻く環境は厳しいものがあります。
 また、4月には改正精神保健福祉法の施行で、新しく始まることがあります。一つには、医療保護入院の更新制度の開始、医療保護入院で入院した場合には3ヶ月後の更新の手続きが必要になります。二つ目、障害者虐待防止では、医療従事者が患者を虐待した場合には、都道府県への通報に義務が生じました。三つ目、入院者訪問支援事業の開始です。当院では積極的に受け入れていきたいと考えています。
 医療環境は常に変化し続けています。想像・イマジネーションと創造・クリエイションを働かせ、皆さんの若い力で五稜会病院を盛り上げてほしいと思っております。本日は、誠におめでとうございます。
 令和6年4月1日 中島公博

「令和6年4月、診療報酬改定」

 令和6年4月は、診療報酬改定、介護報酬改定、障害福祉サービス診療報酬改定のいわゆるトリプル改定が行われます。 診療報酬の改定率は、+0.88%です。ちなみに、介護報酬は、+1.59%、障害福祉サービス報酬は、+1.12% となっています。
 政府が進めている医療DX(デジタルトランスメーション)の議論の中で、診療報酬改定の期間が短いために改定作業の負担が大きいことが課題として挙げられていました。通常の診療報酬改定のスケジュールでは、4月に施行、5月に初回請求とされてきました。そのため、改定期間は実質2ヵ月~3ヵ月と短く、電子カルテやレセコンベンダ(販売業者)の改定作業並びに、医療機関・薬局等の改定作業が逼迫し、大きな負担がかかってきました。
 そこで、令和6年度診療報酬改定より、薬価改定については「4月1日」に施行し、薬価改定以外の改定事項については、「6月1日」に施行することになりました。
 患者さんには、あまり関係がありませんが、自己負担がかわったりの多少の影響はあるかと思います。
 令和6年3月10日 中島公博

「令和5年1年間、有難うございました。」

 令和5年1年間は、怒濤のように過ぎました。ひとまず健康に過ごせたことを、感謝したいと思います。
 令和5年5月8日、新型コロナウイルス感染症は、これまで「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」において「新型インフルエンザ等感染症」として位置づけられていましたが、「5類感染症」に位置づけられました。5類になったことで、コロナ禍以前のような経済活動を再開できる、感染してしまった際にかかりつけ医など一般の診療施設で受診できるなどの利点があります。会食なども対面で出来るようになったことは喜ばしいことです。学会、研究会も対面形式に戻ってきました。観光客も増えてきて、コロナ禍以前の水準になっているようです。巷では、ノーマスク姿が多くなってきています。五稜会病院でも、12月には4年ぶりの対面式の忘年会を開催しました。やはり、リアルな交流は、親密感も増します。
 五稜会病院では、病院の医療・運営に関して、1年間で最も『創造性』ある取組に対して、栄誉を称えるとともに、さらなる発展、職員の意欲向上に繋げる目的で、理事長賞を設けています。
 令和5年度は、「急性期病棟と3病棟の閉鎖病棟でのスマホ・携帯電話解禁」と「教育動画ライブラリー開設」の2つに理事長賞を贈呈しました。
 1年間、有難うございました。
 令和5年12月31日 中島公博

「令和5年10月、今年の北海道は暑かった」

 令和5年、もう10月になりました。今年の北海道、札幌は暑かったですね。十勝の池田町では7月26日に36.2℃、7月27日には35.2℃になるなど、7月末に3日間の猛暑日になりました。8月23日、札幌市中央区では36.3度と観測史上最も高い気温を更新しました。明治9年(1876年)に統計開始以来の最高気温です。さらに、札幌はひと夏に3回の「猛暑日」となり、東京オリンピックのマラソン競技が札幌で開催された令和3年と並んで1位タイ記録になりました。北海道内は40日近い連続真夏日で記録づくめの暑さでした。
 「お盆を過ぎたら涼しくなる」というのが通常の天候だったと思うのですが、今年の猛暑ではそれも言えなくなりましたね。9月も例年よりも暑い日が続きましたが、9月末になってようやく涼しくなり、逆に朝は寒いくらいで暖房も必要かもという日もありました。日中の暑さと夜間、早朝の冷えの寒暖差が激しく、体調管理にも注意を要します。季節の変わり目で、心身ともに変調を来す方も多くいらっしゃいます。気温に合わせて、上着を着たり脱いだり、体操や散歩するなど体力を付けるようにしましょう。しっかりと睡眠を取るのも大事です。「寝るのが一番」です。
 ところで、「夏が暑いと冬は大雪」という都市伝説のようなものがあります。最近では、令和3年夏は何のために東京オリンピックのマラソンを札幌でやったのかと思うくらいの猛暑でした。その年の冬(令和3年12月~令和4年3月)はドカ雪が3回くらいあり、朝玄関を出て思わず笑うしかないような大雪でした。今年の冬はどうなるのでしょうか。今から心配です。
令和5年10月1日 中島公博

「ユーチューバーの仲間入り」

 五稜会病院では、令和5年3月、一般の人や医療者向けに、精神科医療全般にわたって知識を深めてもらうため、「五稜会病院精神科教育動画(GMCPLM)ライブラリー」を創設しました。少しでも、精神科医療についての理解が深まって頂けたらと思います。ユーチューブにアップしていますので、簡単に視聴出来ます。ユーチューバーの仲間入りです(笑)。この精神科教育動画ライブラリーについては、令和5年5月15日の北海道医療新聞に紹介されています。
 動画の良いところは、見る人にとっては、スマホを使って何時でも何処でも気軽に視聴出来て、しかも何回も見ることが出来ることです。通学、通勤中でもわずかな時間でも見られます。紙の資料を探して、調べて勉強するよりも、遙かに効率的でしかも耳からも知識が入るので効果は抜群と思います。
 また、作る側にとっても、一つのテーマをまとめるのに、間違いがないようにチェックしますので、復習にもなります。自分の頭の整理にもなります。記憶を留めたいという意味でも、便利なサーバーとしての役割を担っているんだと考えてもいいかもしれません。
 動画編集は、編集ソフトを用いて行います。相当な時間も要しますが、完成した作品が満足いくものであれば喜びも湧いてきます。「板垣死すとも自由は死せず」じゃないですが、自分がいずれリタイヤしても、作成した動画は残っているかもしれません。
令和5年6月3日 中島公博

「令和5年4月、五稜会病院入社式」

 令和5年4月3日、五稜会病院の入社式を行いました。
以下は、理事長・院長からの挨拶の要旨です。 
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 職員を代表してご挨拶申し上げます。 新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。
 今年5月から新型コロナが2類から5類になるので、ようやく以前のような対面の交流ができそうです。今までやっていなかった歓迎会も出来ると思います。 
 さて、五稜会病院は、令和4年12月に創立50周年を迎えました。今年3月には、50周年記念誌も出来上がりました。50周年記念の動画もYouTubeにアップロードされています。是非、ご覧下さい。  
 また、今月4月1日から改正精神保健福祉法が施行されました。医療保護入院の家族等の要件の変更と、医療保護入院の場合に入院の理由並びに本人だけでなく家族にも告知義務が生じました。今まで、五稜会病院では既に行っていたことですが、新たに書面での告知が必要になりました。 
 今日、私がお伝えしたいことは3つです。 
 1つ目、五稜会病院は地域の精神科医療を担っている「人に優しい民間の病院」です。患者さんの話を聞いてあげるということが大事です。来年令和6年度は、診療報酬の改定があります。少しで良いですので、診療報酬のことも念頭に入れて下さい。 
 2つ目、精神科の仕事は、チーム連携、情報共有が大事です。 精神科医療は、一つの職種ではできません。多職種で情報を共有して、患者さんにとって最善の医療を提供することです。 わからないことがあれば、遠慮なく聞いて下さい。 
 3つ目は、想像して、新たなことにチャレンジして下さい。 同じ病気でも、患者さんの病状は1人1人違います。  常に、創造性を働かせて、自分のなかで何か新しいこと、研究テーマを見つけて下さい。  私もYouTuberになりました。これが重なれば病院の医療のレベルアップに繋がります。
 新人の皆さん、職員全員で、「人に優しい、安心、安定した病院」創りを一緒にしていきたいと思います。  
 本日は、誠におめでとうございます。 
令和5年4月3日 中島公博

「五稜会病院精神科教育動画(GMCPLM)」ライブラリー 創設

 一般の人や医療者向けに、精神科医療全般にわたっての五稜会病院精神科教育動画(GMCPLM)ライブラリーを創設しました。少しでも、精神科医療についての理解が深まって頂けたらと思います。
手始めに、以下の3つをアップロードしました。
 一般の人には、難しい内容かと思いますが、患者さん向けの動画も順次、作成していきます。
【GMCPLM0001】
【GMCPLM0002】
【GMCPLM0003】

さらに、アップ
【GMCPLM0004】
【GMCPLM0005】
令和5年3月20日 中島公博

「五稜会病院創立50周年記念誌完成」

 令和4年12月、五稜会病院は創立50周年を迎えました。五稜会病院は、故田中稜一が昭和47年に130床の単科精神科病院を開設したことが始まりです。そこで、創立50周年を記念した冊子を作成しました。タイトルは、「現在/ 過去/ 未来」です。
 現在の時代に生きる我々五稜会病院職員にとって、やはり大事なのは「現在」です。現在の五稜会病院の姿を整理することは、足下をしっかりと見据え、五稜会病院の「人に優しい」安心・安定した病院創りに欠かせない作業になります。
 そして、現在の五稜会病院があるのは、「過去」があるからであり、創立当時やその後の歴史を振り返ることは、その知恵を現在に生かすことも出来ると思います。
 50周年記念誌の構成は、現在の五稜会病院、各部門紹介、職員からの応援メッセージ、過去の創立以来の出来事、運動会や盆踊りなどの懐かしい写真、論文や学会・研究会発表の業績、主要な論文別刷、さらには、「現在/ 過去/ 未来」を掘り下げるために、編集委員による座談会の内容を掲載致しました。
 これまで五稜会病院に関わった全ての皆様に感謝の意を表するとともに、これからの50年後に向けて、さらなるご厚情を賜りたく、お願い申し上げます。
令和5年3月3日 中島公博

「令和5年1月、健康保険傷病手当金支給申請書が新しくなります」

 令和5年1月、全国健康保険協会(協会けんぽ)では、各種申請書等を新様式にします。これは、「より分かりやすくすること」、「より記入しやすくすること」、「より迅速に給付金をお支払いすること」等を目的としたものです。
 我々は、療養担当者として意見書を記載しますすが、令和4年12月までの様式は、中島がエクセルで作成した書式を用いて、電子カルテから紐付けされた氏名(漢字)、傷病名、初診年月日は自動入力され、労務不能と認めた期間は、作業欄に入力して、日時と自動入力された日数を1マスごとに入力されるようにしていました。既に入力の簡便化を図っていたので、今更「より記入しやすくすること」もなかったのですが、新書式にするということなので、早速エクセルの書式を修正しました。
 ここで驚きました。氏名をカタカナで1マスごとに入力し、それも「姓と名の間は1マス空けてご記入ください。濁点(゛)、半濁点(゜)は1字としてご記入下さい。」とありました。銀行で振り込み用紙で使うものと一緒です。手書きであれば、判読不能がないようにという意図なのでしょうが、パソコン入力となると、1マスごとに入力するのは、面倒この上もありません。「ナカジマ」の「ジ」は、「シ」と「゛」を入れるんです。そこで、電子カルテから紐付けされたカタカナ氏名を、如何にして1マスごとに入力出来るかを思案して、「より記入しやすく」することにしました。(中島作成:新傷病手当エクセル版)
 第1案:マクロを用いたものです。濁点のカタカナは、「ヴガギグゲゴザジズゼゾダヂヅデドバビブベボ」、半濁点は、「パピプペポ」なので、それをマクロに記入式を入れて、開発⇒マクロの実行(カーソルを作業欄のセルに置いて下さい)で一発で自動入力されます。これは、少々マニアックで、手作業で実行を押さないとなりません。
 第2案:医事課職員のアイデアを参考にしました。全角の濁点、半濁点のカタカナは1つの文字として認識されます。例えば、「ジ」の濁点は分割出来ません。しかし、半角の場合、「ジ」は「シ」と濁点「゛」の2つの文字として扱われます。これを利用して、電子カルテから紐付けされた全角のカタカナ氏名をAsk関数を用いて一旦半角に変換して、その文字列の左から1,2,3,4番目の文字を順に1マスごとに入力し、そして、意見書のカタカナ氏名欄には、JIS関数で全角に戻して入力するというものです。作業欄のセルに、「ナカジマ キミヒロ」と入力すると、見事に意見書の1マスごとに入力されます。第2案は、マクロを用いたものに比べて簡便なので、こちらを電子カルテの文書管理に搭載しました。
 これをご覧になった医療関係者の皆さんも是非使って下さい。出来れば、ご感想などもお願い致します。協会けんぽの新書式作成担当者さんは、「より記入しやすくすること」を考えてくれたのでしょうが、パソコン入力での簡便さも考慮して欲しいものです。書式をころころ変えないで下さい。
令和4年12月24日 中島公博

「五稜会病院オンライン大忘年会」

 令和4年も終わります。昨年からのCOVID-19、コロナ禍も3年が経とうとしています。こんなに長くなるなんて誰が予想したでしょうか。最近は、新種のオミクロン株も出現し、予断を許しません。これは、昨年と年数を除いて同じ文になってしまいました。
 五稜会病院でも、世間と同様に10月末~11月半ばまで、初めてのクラスターを経験しました。また、コロナ禍のなかで、今年も対面での忘年会は出来ませんでした。そこで、令和3年と同様に、ZOOMを用いたオンライン大忘年会を開催しました。昨年よりも多い約100名近くが参加して、理事長から「1年を振り返って」のスライド発表と看護部長の乾杯で開始。この1年で入職した新人も20名近くいて、ビデオによる新人の紹介。職員は常にマスク姿なので、素顔が全く見えません。マスクなしのお顔を拝見して、こんな感じなんだと思った参加者も多かったのではないでしょうか。
 今年も、職員全員(200数十名)にレストランのオードブルと飲料を事前配布して、下準備も滞りなく行いました。昨年のオードブルは、ミシュラン★でした。今年はボリューム感を重視しましたが、結構な味でした。飲料は、イタリアの「ピノ・シャルドネ・スプマンテ」ピノ・ビアンコ種とシャルドネ種を用いて造られた本格的な辛口のスパークリングワイン。泡立ちはきめ細かく、スッキリとした味わい、料理との相性も抜群でした。
 忘年会の場を借りて、理事長賞を発表しました。1つは、3病棟(療養病棟)のクラスター感染対策、もう1つは、日頃病院の美化運動、清掃に従事している総務課に贈呈しました。賞金○万円が副賞として贈呈されます。
 2回目のオンライン大忘年会でした。二次会もあり、楽しい一時でしたが、来年は、札幌市内のホテルで対面での忘年会を期待しています。
令和4年12月17日 中島公博

「人生が二度あれば」

 「父は今年二月でロクジュウゴ 顔のシワはふえてゆくばかり 仕事に追われ このごろやっとゆとりができた~」、「父の湯呑み茶碗は欠けている それにお茶を入れて飲んでいる 湯飲みに写る自分の顔をじっと見ている 人生が二度あれば この人生が二度あれば~」。これは、井上陽水さんの1stアルバム「断絶」のなかのデビュー曲「人生が二度あれば」です。
 高校1年のN少年は、地元でのコンサートに行った同級生から、井上陽水が如何に素晴らしかったかを熱く聞かされました。そして、その年の3rdアルバム「氷の世界」が日本発のミリオンセラーになりました。もう50年も前の話です。
 当時、私の父は50過ぎでしたので、この歌詞を聴いて、「ロクジュウゴ」っていうのは随分と年寄りなんだなと思っていたものでした。当時は、自分もその年になるなんて思いも寄りません。「今年九月でロクジュウゴ」ですが、今の自分を振り返って、「顔のシワは増えてはいない」、「何時まで経ってもゆとりはできない」、「湯飲みよりコーヒーカップかな」という感じです。大学を卒業してから、毎年毎年さらに忙しくなるばかりで、ゆとりなんていうのは遠い先です。
 人に頼む時には、忙しい人に頼みなさいというように、人に頼られて忙しいうちが華です。かつては、人生50年。今の世は10歳くらい若返っています。健康状態が良ければ、あと10年くらい、仕事は頑張れるかなと思っています。
 行動制限は緩和されていますが、コロナの蔓延、コロナ陽性や濃厚接触で出勤停止による人手不足、ロシアとウクライナの戦争、地震や大雨の被害など、辛いことが増えてゆくばかり。人生が二度あれば、コロナのようなパンデミックのない、自由に人と触れあえるような、戦争がない世界を望みたいものです。
令和4年8月20日 中島公博

「精神科は書類の山」

 「宝の山」じゃありません。精神科では色々な書類があります。内科・外科でもですが、訪問看護指示書、障害支援区分・介護保険意見書、生命保険、生活保護や生命保険会社からの病状照会、労災に関わる意見書、警察からの捜査関係事項照会等の他、精神科ではさらに精神保健福祉法に関する医療保護入院届・退院届や自立支援医療意見書、精神障害者手帳、精神障害者年金、障害福祉サービス意見書などなど、「精神科は書類の山」なのです。ちょっと留守にすると、書類が山のように溜まって、休みの日も出勤して書類書きに忙殺されます。
 五稜会病院では、殆どの書類をエクセルを用いて電子化しています。患者さんから書類の依頼があれば、クラークが電子カルテの文書管理から必要な書類を立ち上げ、患者さんの氏名、生年月日、年齢、性別、住所、初診年月日などの基本的なデータは、電子カルテから紐付けされていますので、その書類を文書管理に収納して、クラークが医師に書類作成の依頼をします。そして、医師が必要事項を記載し印刷して完成というわけです。この流れで、医師の書類作成時間が大幅に短縮され、患者さんには早めに届けられます。
 病気やケガによる休業中に被保険者とその家族の生活を保障する制度として、健康保険傷病手当金があります。傷病手当金申請書は、手書きでしたが、協会けんぽホームページから、記入できるPDFファイルの申請書がダウンロード出来ることがわかりました。ところが、このPDFファイルは使い勝手が悪い上に当院の電子カルテに登載できません。そこで、一発奮起して、申請書とうり二つのエクセル版の申請書を作成しました。申請者の氏名、初診日、主治医名は電子カルテから引っ張ることが出来ます。労務不能と認めた期間は、エクセルの作業欄に開始日と終了日を日付表示で入力すれば、申請書の元号、年月日のそれぞれに数字が自動的に入力されます。年月日はそれぞれ2桁のマスに一つ一つ入力するよりも遙かに時間が節約されます。手書き作成と比べて5分は短縮出来ると想定しています。令和3年1年間に傷病手当は876件でした。5分×876=4,380分:73時間の節約になる計算です。その分、クラークも医師も他の医療サービスの提供が出来るというものです。まさに、厚労省が啓蒙している働き方改革です。
 折角作ったエクセル版の「傷病手当金申請書」ですので、これを公開します。さらに良い工夫点がありましたら、是非お教え下されば幸いです。
令和4年5月5日 中島公博
 5月6日、追伸:このブログを公開したのが、5月5日。早速、デイケアメンバーのHさんから、大変素晴らしいアイデアを頂きました。これを参考にエクセルの関数を修正した「傷病手当金申請書」 をアップします。感謝感謝です。

「令和4年度、五稜会病院入社式」

 COVID-19の感染持続、ウクライナの戦争など暗い話題ばかりです。そのなかでも、まん延防止等重点措置が解除となり、あれだけの大雪でしたが、雪解けも急ピッチで進み、日差しも春めいてきました。嬉しいことに、令和4年4月から医師2名含む前途有望な新人を五稜会病院に迎えることができました。以下は、4月1日の入社式の理事長・院長からの挨拶の内容です。
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 新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。大勢の人数の歓迎会は出来ませんが、コロナが収まったら盛大に歓迎会、打ち上げでもしたいと思います。今日、私がお伝えしたいことは3つです。
 1つ目、五稜会病院は地域の精神科医療を担っている、「人に優しい民間の病院」です。患者さんのお話を聞いてあげるということが大事です。令和4年度は、診療報酬の改定 本日から改定になります。少しで良いですので、診療報酬のことも念頭に入れて下さい。
 2つ目、精神科の仕事は、チーム連携、情報共有が大事です。精神科医療は、一つの職種ではできません。多職種で情報を共有化して、患者さんにとって最善の医療を提供することです。わからないことがあれば、遠慮なく聞いて下さい。
 3つ目は、想像して、新たなことにチャレンジして下さい。同じ病気でも、患者さんの病状は1人1人違います。常に、創造性を働かせて、自分のなかで研究テーマを見つけて下さい。これが重なれば病院の医療のレベルアップに繋がります。新人の皆さん、職員全員で、人に優しい、安心、安定した病院創りを一緒にしていきたいと思います。
 本日は、誠におめでとうございます。 
                 令4年4月1日 中島公博

「五稜会病院Web大忘年会」

 令和3年も終わります。昨年からのCOVID-19、コロナ禍も2年が経とうとしています。こんなに長くなるなんて誰が予想したでしょうか。最近は、新種のオミクロン株も出現、ヨーロッパでは陽性者が激増して、予断を許しません。
 コロナ禍のなか、五稜会病院でも歓迎会、送別会、忘年会は自粛しています。令和2年と3年に新しく入職した方は40名にも上りますが、歓迎会も開けていない状況です。当院は、チーム医療を大事にしています。それを実践するには、職員同士のふれあいが大事です。ところが、歓迎会などがないために、お互いに胸襟を開いて話すことが出来ず、新人や職場のスタッフ同士の関係が深化出来ていません。素顔が見えず、マスク姿しか見られない方もいます。
 令和2年は、忘年会が開催出来ませんでした。令和3年12月は、緊急事態宣言の解除から時間も経ち、コロナ陽性患者も激減していますが、大勢での飲食は避けなければなりません。そこで、今年はZOOMを使って、Webでの大忘年会を週末に行うことにしました。
 有名レストランのオードブルと飲料を各家庭に事前に配布し、雰囲気を作っての忘年会開催です。はじめに、理事長からの「1年を振り返って」のスライド発表と乾杯で開始。そして、事前に撮影した新人の紹介ビデオ、理事長賞の発表(ストレスケア思春期病棟のレッドゾーン対応とコロナワクチン接種の2つ)、オンラインでの参加者同士の歓談。思いのほか楽しく出来ました。
 史上初めてのWeb大忘年会でした。でも、リアルの対面での会に勝るものはありません。最初で最後のWeb大忘年会であって欲しいと思いました。
                令和3年12月19日 中島公博

「Web会議、Webでの学会参加」

  令和2年からのCOVID-19の発生から、三密を避けるために、出張、学会参加の自粛、学会や研究会そのものの中止がありました。COVID-19、コロナ禍2年目の令和3年になってからは、学会や研究会はオンライン、Webでの開催が主流となっています。現地参加とWeb参加のハイブリッド形式も増えました。
 パワーポイントで音声を入れてオンデマンドで流す方法も採られています。令和3年の日本精神神経学会は、6月京都での開催が9月に延期されましたが、まだ緊急事態宣言のまっただ中で現地参加もはばかられ、「五稜会病院における入院患者の意思決定支援の取組み」の演題発表は、パワポに音声入力したものを会場で流す方法となりました。10月に横浜市で開催された日本精神科医学会での「単科精神科病院での発達障害診療における精神科医と心理師との協同~初診から診断確定までの効率的システムの開発~」の発表も札幌からのWeb配信でした。
 Web会議やWebでの学会、研究会は、わざわざ現地まで行かなくて済むので、非常に効率的で旅費も掛からないし、余分な時間も取られないので、多くのメリットがあります。ただ、せっかくの京都や横浜への旅、現地での美味しい食べ物、風景など堪能出来ない寂しさや、やはり面と向かっての人との交流ができない欠点があります。
 最近はコロナ陽性者が減っています。早くコロナ禍が落ち着いて、自由に行き来したいものです。                  
令和3年10月30日 中島公博

「敬老の日にちなんで」

 令和3年9月20日は敬老の日です。国民の祝日に関する法律(祝日法)によれば、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ということが趣旨です。平成14年までは9月15日でした。ところが、平成15年から、祝日法改正(ハッピーマンデー制度)によって、平成15年からは9月第3月曜日となりました。9月15日という日取りは、「敬老会」の提唱者である兵庫県のある村長さんが、農閑期にあたり気候も良い9月中旬ということで決めたものです。歴史的な経緯があるのですね。月曜日が休みで、その恩恵を預かっている人はどれくらいいるのでしょうか。全然、ハッピーでない人も多数います。
 敬老の日の対象者は、何歳という決まりはないようですが、老人の定義は、老人福祉法や世界保健機関(WHO)では65歳以上としているようです。ということは、私も近々、対象年齢になってしまうってことです。70歳以上にして下さい。
 私の母は、大正14年生まれの御年96歳、さすがに足腰は弱くなっていますが、認知機能の低下もなく、とても元気です。私が普段言っている「寝るのが一番」は、母が提唱したものですが、それが長寿の秘訣のようです。
 誕生祝いの時、その人の誕生を祝うのは至極当然ですが、誕生のためには、産んでくれた母親の存在があります。誕生日には、産んでくれた母のことを是非とも思いだし(想像し)、感謝の念を表すべきと思っています。 
               令和3年9月20日 中島公博

「B」から「A」へ

 精神科医の最大の学会である日本精神神経学会の機関誌、精神神経学雑誌2021年第123巻第1号が発行されました。本号から精神神経学雑誌が1999年以来22年ぶりに衣替されて、誌面が従来より一回り大きいA4変型判なりました。
 最近では、色々な医学雑誌、学会誌でA4版への移行が進められています。ちなみに五稜会病院の診療録は、2009年にB5版からA4版に移行、2013年には紙カルテも併用しつつ電子カルテを導入しています。個人的には、B5版の方が嵩ばらないし、視野に一収まりできて見やすいので好きなのですが、時流に合わせなくてはなりません。でも、週刊誌までA4版になったら読みづらいですよね。
 A判は、19世紀末ドイツの物理学者オズワルドによって提案されたドイツの規格、面積が1平方メートルの「ルート長方形」をA0としています。「ルート長方形」とは、縦横比率が「白銀比」と呼ばれる「縦:横=1:√2」です。「白銀比」は、大きさは違っても縦横の比率は同じ相似の長方形に分割でき、どこまで半分にしても同じ形、相似形の長方形になります。この形は、古来より美しい比の形として好まれてきたのだそうです。
 一方、B判は、日本で江戸時代に使われていた「美濃判」の寸法がもととなってできた日本独自の規格。こちらは、面積が1.5平方メートルの「ルート長方形」をB0とした国内規格サイズ。B5サイズは、B0を5回半分に折ったもので182×257mm。400字詰めの原稿用紙のサイズがB4で、それを半分にするとノートや週刊誌などの大きさのB5サイズになります。このB版も縦横比率が「白銀比」になっているのです。A判は国際規格、B判は日本工業規格、日本の公文書は伝統的なB判が長く使われてきましたが、日本もグローバル化で、1990年代に国際規格であるA判に移行され、現在ではA判が主流となっています。
 不思議ですが、昔の日本人もすごい発想をしていたというか、19世紀のドイツと江戸時代で、お互いの情報交換があったとは思えない中で、「ルート長方形」「白銀比」という概念が同じように用いられていることには驚かされます。ドイツや日本以外の国でも、このような考えがあったのでしょうか。興味深いです。
              令和3年5月9日 中島公博

令和3年4月1日、五稜会病院入社式

令和3年4月1日、令和3年度の五稜会病院入社式を行いました。
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 五稜会病院職員を代表してご挨拶申し上げます。 
新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。 
今年は、昨年に続き、コロナコロナで大変なことになっています。多勢の歓迎会は出来ませんが、コロナが収まったら盛大に打ち上げでもしたいと思います。 
今日、私がお伝えしたいことは3つあります。 
 1つ、五稜会病院は地域の精神科医療を担っている、「人に優しい精神科病院」です。病んだ人相手の仕事です。患者さんの訴えに、耳を傾けて下さい。
患者さんの意思決定支援が大事です。 
 2つ、精神科の仕事は、チーム連携、情報共有が大事です。精神科医療は、一つの職種ではできません。多職種で情報を共有して、患者さんにとって最善の医療を提供することです。 わからないことがあれば、遠慮なく聞いて下さい。 
 3つ、常にチャレンジ精神を持つことです。同じ病気でも、患者さんの病状は1人1人違います。 常に、創造性を働かせて、自分のなかで研究テーマを見つけて下さい。これが重なれば病院の医療のレベルアップに繋がります。  
 新人の皆さんと職員全員で、人に優しい、安心、安定した病院創りを一緒にしていきたいと思います。  
 本日は、誠におめでとうございます。
              令和3年4月1日 中島公博

令和3年1月、Withコロナの幕開けです。

  令和3年が始まりました。昨年から続いたCovid-19、新型コロナが未だに収束されていません。北海道では、一日の感染者数が200人前後、東京の都市圏では、1月8日から緊急事態宣言の発出もあり、今後も予断を許しません。いつまで続くかと思うとぞっとします。
 今年の三箇日は天気にも恵まれ、穏やかな新年を迎えました。コロナが無ければ、華やかなお正月だったでしょう。それはさておき、新年、明けましてお目出とうございます。今年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 令和3年(2020年)の1年間はどんなことがあるのでしょうか。コロナ対策が一番でしょうが、コロナばかり気にしていたら身体や精神が持ちません。昨年予定だった東京オリンピック、パラリンピックが、7月から開催されます。札幌では、マラソンと競歩が行われます。マラソンコースは大通りを抜けて石狩街道、緑あふれる北大構内を2周します。是非観に行きたいと思います。楽しみですが、コロナでオリンピック開催がどうなるやらです。
 私は、毎年新年に今年を占う漢字を選んでいます。今年の漢字1文字は、コロナ禍のなかでの仕事・日常生活を表して「忍」としました。じっと構えていけばいつかは晴れる日が来ます。「止まない雨はない」です。
 五稜会病院は、「人に優しい」病院です。今年も、地域の精神科医療をしっかりと担って行きます。皆様も心身の健康を大事にして、今年も、楽しく過ごしていきましょう。
               令和3年1月25日 中島公博

勤労感謝の日にちなんで

 コロナ、コロナで世の中は閉塞感が漂っています。ワクチンの開発では、有効率が95%と期待が持てそうなものも発表されています。早く実臨床で使えるようになって欲しいものです。ワクチンのような救世主が現れ、世界中が歓喜に包まれる日を切に希望します。そして、来年8月には、札幌市で開催される東京オリンピックのマラソンや競歩を安心して応援に行きたいものです。
 さて、11月23日は勤労感謝の日です。国民の祝日に関する法律によれば、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」ことを趣旨としています。日本では古くから、天皇が新穀などの収穫物を神々に供えて感謝し、自らも食する「新嘗祭(にいなめさい)」という祭事が行われていましたが、これを継承した祝日とのことです。
 話しは変わりますが、ボジョレー・ヌーボーが11月第3木曜日午前0時、今年は11月19日に解禁されました。このワインは、そもそも、地元の人が収穫祭で楽しむための地酒です。事前情報では、最初に収穫したブドウの状態はとても健全で、例年と比較しても非常に品質が良く、収穫前の数日間の環境は、アロマの凝縮感と素晴らしい色合いを引き出すのに最適でしたということです。
 早速、セコマで買ったボジョレー・ヌーボーを飲んでみました。「やや甘めの芳醇な香り、エレガントな味わい」と言いたいところですが、テイスティングは今一なのでわかりません。
 いずれにしても、感謝という意味では、新嘗祭や勤労感謝の日に繋がっているんですね。一所懸命に生きている人、全てに感謝です。
             令和2年11月23日 中島公博

ゲーム依存・スマホ依存・ネット依存

 コロナ禍のなかで自粛生活、Stay Homeを余儀なくされ、暇なのでゲームに夢中になっている。このような中学生、高校生がさらに増えています。ゲーム依存症(Video game addiction)は、普通の生活が破綻するほどの、持続的かつ反復的なゲームへののめり込みを指し、ゲーム症/ゲーム障害(Gaming disorder)とも言います。2018年に公表になったICD-11(国際疾病分類第11版)では立派な病気として認められました。
 ネットで不特定多数の人とプレイできるオンラインゲームは、DSM-5(アメリカ精神医学会診断基準2013年)ではインターネットゲーム障害として記述され、今後の研究が推奨される病態として基準が示されました。
 五稜会病院は、中学生以降の思春期を対象に精神疾患を診ています。ゲーム依存、スマホ依存の中学生や高校生、はたまた大学生も受診します。殆どの方が、親が困っての来院。本人はいたって平気、自分で直したいという患者さんはいません。ゲーム依存の治療として、世間でよく言われるのが認知行動療法です。
 さて、具体的にはどうするのか。ゲームの時間を決める、夜更かししない、ゲーム機をしまう、ネットを遮断する、などが考えられます。親は、そんなことは既にやっていると言います。我が家でもネットを遮断したことがありました。何食わぬ顔で、ネットの故障と言っていたものです。
 ゲーム依存等には、規則正しい生活を再度確認し、必要によっては睡眠覚醒リズム表の記載を指導し、「寝るのが一番」と勧めています。
              令和2年8月16日 中島公博

「三密」を回避して「こころの密(心密)」へ

 新型肺炎のコロナウィルスで世界中が大変なことになっています。北海道では令和2年2月に全国に先駆けて道知事により非常事態宣言がなされました。3月で収束すると思いきや5月連休まで感染が拡大し、さらに非常事態宣言が伸びるとは考えもしませんでした。五稜会病院の近くでもクラスターが発生し、段々とウィルスが忍び寄ってきているのではないかと疑心暗鬼になります。最近では、コロナの関係で不安が強くなり、パニック障害の症状を呈して受診される方や自分のせいでコロナウィルスが広まってしまったと被害妄想が強くなった方もいます。連休中にも関わらず、世の中は自粛自粛で、5月2日には北海道知事から、連休中は「とにかく家にいる!」という緊急メッセージもありました。
 感染拡大を防ぐためには、「三密」を避けることが提唱されています。「密集」「密閉」「密接」の三つの「密」です。幼少の頃、「隠密剣士」っていうテレビ時代劇もありましたが、今は「三密」です。
 経済状況が悪化しているなか、沢山の方が困っています。病院では、「三密」の回避、頻回の換気、全て職員、患者さんへの頻回の手洗い、マスク着用の促し等、万全の感染対策をしていますが、熱発者の方には、プログラム参加の中止や入院の延期など予定を変更せざるを得ない事態も生じています。これまでに経験のない状況のなかで、精神状態を平穏に保てなくて、どうしてもぴりぴりムードになってしまいます。
 本当に切羽詰まった状況ですが、私たちが出来ることは、「三密」を避けながら、行動拡大も出来ないこのなかで、翻って人と人とのこころの繋がりを深めていく「こころの密(心密)」を大事にすることですね。
            令和2年5月2日 中島公博

令和2年3月送別、そして4月1日入社式

 長らく五稜会病院に勤務した薬局長と心理主任が退職となりました。例年であれば送別会ということになるのですが、今年はコロナ渦の影響で開催できませんでした。感謝の気持ちをこめて、最後の勤務の朝ミーティングの場で私からささやかなバラの花束を贈らせて戴きました。長い間有り難うございました。そして、4月1日は新年度開始、新たに役職についた方、新人の入社式を行いました。
 新人や職員には以下の3つを伝えました。
 1つ目は、精神科医療をとりまく環境は大きく変化しているということ。統合失調症の精神病圏の患者さんは減ってきて、発達障害や様々の人間関係、職場・学校での不適応を来たして受診される方が増えてきています。また、今年は2年に一度の診療報酬改定があるので注視して戴きたいと思います。2つ目は、精神科医療は多職種連携、多職種協働作業です。一つの職種で仕事は出来ません。多職種で情報を共有化して、患者さんにとって最良の医療を提供することです。五稜会病院は風通しの良い職場環境です。わからないことがあれば、遠慮なく聞いて下さい。3つ目は、我々の使命は、地域の精神科医療を担うことです。地域の基幹病院として、患者さんへのサービスを提供することです。
 精神科病院は病んでいる方相手の仕事です。人に優しい、安心、安定した病院創りを皆さんと一緒にしていきたいと思います。常にチャレンジの気持ちを忘れずに、今後の活躍を期待しております。
 新人職員は不慣れな点もあるかと思いますが、宜しくお願い致します。
               令和2年4月1日 中島公博

新型肺炎、コロナで戦々恐々

 最近、大変な問題になっている新型肺炎。その原因のコロナウィルスは、ゲノムとしてリボ核酸(RNA)をもつ一本鎖プラス鎖RNAウイルスで、哺乳類や鳥類に病気を引き起こすウィルスの1つ。ウイルス粒子表面のエンベロープ(膜構造)が花弁状の長い突起で、コロナ(太陽の光冠)に似ていることからその名が付けられています。ヒトでは、風邪を含む呼吸器感染症などを引き起こし、SARSやMERSそして2019新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)のようなタイプのウィルスでは、致死的となる場合があります。ヒトコロナウィルス感染を予防または治療するためのワクチンや抗ウイルス薬は、現時点ではまだ開発されていません。と、ウィルスの勉強をしていたら、医学部の学生時代を思い出しました。
 ウィルスは、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体でタンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなっています。細胞は生きるのに必要なエネルギーを作る製造ラインを持っていますが、ウィルスは生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たずに、自分の代謝を宿主細胞に完全に依存し、宿主の中でのみ増殖が可能なのだそうです。ウィルスが唯一できることは、他の生物の遺伝子の中に彼らの遺伝子を入れる事ですが、厳密には自らを入れる能力も持っておらず、ただ細胞が正常な物質と区別できずにウィルスタンパクを取り込み、増やしてしまうと病気になってしまうのです。
 全く、ウィルスってパラサイトそのものです。コロナウィルスに自分が乗っ取られないように、美味しいものを食べて運動し、しっかりと熟睡して自分の健康を保つこと、手洗い・うがいなどの予防が大事ですね。
             令和2年3月13日 中島公博

令和2年1月、新しい年が始まりました。

 令和2年が始まりました。新年明けましてお目出とうございます。今年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 さて、令和2年、西暦2020年はどんな年になるのでしょうか。昨年はラグビーのワールドカップ(RWC)が日本で開催され、日本チームの活躍で大いに盛り上がりました。「ONE TEAM」も流行語大賞に輝きました。五稜会病院もチーム医療を大事にしており、「ONE TEAM」もピント来るものがありました。
 そして、7月からは、いよいよ東京オリンピック、パラリンピックの開催です。マラソンと競歩は暑さ対策により、札幌で開催されることになりました。この降って沸いたようなイベントを楽しむよりほかありません。当初想定されていた札幌マラソンコースの新川通りは、これでもかというくらいにくさされていました。札幌市民としては随分と憤慨しておりました。結局、コースは大通り公園を抜けて石狩街道、北大構内を2周することになりました。大通りや北大の緑あふれる構内をアスリートが走るなんて、この風景は世界中に発信されるわけですから、是非観に行きたいと思います。
 昨年、私の平成31年の漢字1文字は、これから新しい元号になるということで、「新」の字にしました。今年はオリンピックイヤーですので、日本人の活躍を祈念して「勝」で行きます。
 五稜会病院は、「人に優しい」病院です。引き続き、地域の精神科医療をしっかりと行って行きます。そのためには、今年も、楽しく仕事をしていきたいと思います。
               令和2年1月12日 中島公博

令和元年も終わり、五稜会病院は”ONE TEAM”

 令和元年は5月から始まり、もう12月となり終わりを告げようとしています。今年9~11月のRWCラグビーワールドカップ2019日本大会は盛り上がりました。札幌ドームでもイングランドートンガ戦など2試合が開催され、間近で観戦しました。日本代表のサイドからの華麗なタッチダウンも素晴らしかったですが、大柄な選手のぶつかり合い、押しても押してもひたすら前に進む姿は、思わず力も入ります。ルールはノッコンくらいしか分からない、にわかファンでしたが、これほど熱くなるとは思いませんでした。東京での研究会参加の時には、有楽町のファンゾーンでイングランドと南アフリカの決勝戦を見ました。背の高い大柄な観客が大勢いてスクリーンがよく見えませんでしたが・・・。
 今年の流行語大賞は ”ONE TEAM” になりました。日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが、就任して1カ月後の新旧が混在していた欧州遠征メンバーに「一体感のある組織を目指そう」と呼びかけたことに始まるそうです。
 一方、私たち五稜会病院での医療を中心とした業務は、医師だけではなくで看護師、薬剤師、臨床心理師、精神保健福祉士、作業療法士、事務、総務、掃除のおねえさん?など多職種が関わっています。言葉だけではない、如何に良い ”ONE TEAM” を創るかが大事かと思っています。多職種が気軽に相談できる環境創り、多職種連携が五稜会病院の大切にしているところです。
 令和元年12月7日 中島公博

ブラックアウトから1年

 昨年、平成30年9月6日の北海道胆振東部地震では北海道全域が停電となるブラックアウトがありました。あれからもう1年にもなります。当日は停電で病院内も大わらわでした。停電でエレベーターの使えず、水道も止まり、トイレの水も流せないような状況でした。市内の交通も麻痺しているさなか、スタッフも自宅の停電にもかかわらず大勢が駆けつけてくれました。2階、3階病棟へ階段での配膳リレー、日本新を目指して頑張りました。地震による停電は、まる2日近くに渡りました。実は、地震発生の前日にも大型台風による停電がありました。夜9時頃に電気がついてやれやれと寝ていたら、朝の3時過ぎの大地震そして停電でした。
 昨今、日本では台風による千葉県の大停電や九州や中国地方の大洪水による建物の損壊など、尋常でない被害があります。被災地の皆様にはお見舞い申し上げます。災害には普段の訓練が必要です。以前にも、平日の夕方に病院近くの電柱に雷がおちて停電になったことがあり、その時の対応が非常に役に立ちました。この時にも階段での配膳リレーが行われました。
 災害は忘れた頃にやってくるという格言があります。昨年の災害を思い起こしながら、停電になったときの対処について日頃からの準備をしたいと思います。
(令和元年9月25日:中島公博)

第8回日本精神科医学会学術大会(北海道)無事終わる

 令和元年7月4日、5日、札幌コンベンションセンターにおいて、公益社団法人日本精神科病院協会第8回日本精神科医学会学術大会(大会長は平松記念病院理事長・院長宗代次先生)が開催されました。私は大会実行委員長としての大役を担わさせて戴きました。
 この学術大会は、日精協が公益社団法人になってから名称が変更になっており、その前身は、日本精神科病院協会精神医学会です。五稜会病院のストレスケア・思春期病棟が開設されたのは平成15 年10 月ですが、その年の7 月10 日・11 日に、五稜会病院開設者の故田中稜一前理事長(当時日精協北海道支部長)を大会長として、第31回日本精神科病院協会精神医学会が開催されています。当時、新しい病棟が建築中だったことを思い出します。
 本学会の招待講演には、地元北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター国際疫学部門教授高田礼人先生をお呼びしました。高田先生は、世界で初めてエボラウイルスの感染メカニズムを解明した世界的第一人者です。ウイルスに対しては、「ウイルスに罪は無い。元々自然の中でウイルスは静かに暮らしていた。その自然を破壊し引きずり出したのは人間。だから感染症を引き起こすウイルスと向かい合うのは人間の宿命だと考えている。」と発言されています。昨今、アフリカではエボラ出血熱で多数の死者が出ており、世界的な最新の話題を提供して戴きました。
 シンポジウムの一つには、本年の第13回日本禁煙学会学術大会大会長の社会医療法人公徳会トータルヘルスクリニック院長川合厚子先生の企画による「精神科病院での禁煙推進」がありました。私が川合先生と座長を務めた、この禁煙シンポは、令和元年7月1日から受動喫煙防止法施行で精神科病院でも原則敷地内禁煙となったことから、時期を得た内容であったと思います。
 また、学会翌日には、日精協山崎學会長らと親睦ゴルフ、その帰りに、山崎会長他2名の役員の先生に五稜会病院に寄って戴き、新棟、多目的ホール、ストレスケア・思春期病棟を見学して戴きました。開口一番、「綺麗な病院ですね~。手入れが行き届いている。」でした。
 職員の皆さん、有り難うございます。これからもより良い病院創りをしていきたいと思います。 
令和元年8月17日 中島公博

「風」の力

  毎朝、五稜会病院に出勤中に病院から石狩方面をみると、距離にして10kmくらいのところにある大きな風力発電の羽が廻っているのが見えます。その数は10数機にもなります。ゆっくりと動いていて、今まさに発電しているのかなあと思います。
 風力発電をみていると、昔のテレビドラマ「北の国から」を思い出します。テーマ曲は、さだまさしさんのあの歌「ララーラララララーラ」です。ドラマでは、田中邦衛さん演じる黒板五郎さんが、自宅の屋根に風力発電を作って、子供の頃の淳君(吉岡秀隆さん)、蛍ちゃん(中嶋朋子さん)が自宅に電灯が灯って大喜びをしていたのが印象的でした。そして、五郎さんの父親としての尊厳が見えたようなシーンでした。
 「風」と言えば、イソップ童話の「北風と太陽」や昔話の「鼠の嫁入り」にも「風」が出てきます。「北風と太陽」は、どちらが強いのかを決める北風と太陽の対決の物語。物事へ働きかける方法の違いを表しています。「鼠の嫁入り」では、鼠が天下一の婿をとろうとして考えた候補者のそれぞれに、さらに強いものがいることがわかり、結局、同類の鼠を婿にすることに・・・。あれこれ迷っても平凡なところに落ち着く例えともされています。
 風車の羽を見て「風」って力強いなあと、とりとめもなく考えました。五郎さんのように一軒家であれば、あるいはマンションの上にでも、風車を設置すれば相当な発電量になるのかもしれません。自然エネルギーをもっと使うことが出来るようになれば、北海道でも現在は稼働していない原子力発電所も入らなくなるのかもしれません(私は原発推進あるいは反対者のどっちでもありません)。
 夏の室内は、クーラーでやられますので、こっちの「風」邪は十分注意して下さい。
令和元年6月15日 中島公博

五稜会病院と「令和」

 平成31年4月30日、天皇の退位で「平成」は終わり、5月1日の新天皇の即位から「令和」が始まりました。「令和」、とっても良い響きです。「人々が美しい心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められているのだそうです。出展は日本で最も古い歌集の「万葉集」にある文章です。今から1200年も前の奈良時代に一般庶民も和歌を唱っていたなんて、日本はどんなに文化度の高い国なのでしょうか。
 私は平成7年に五稜会病院に入職しました。平成時代を振り返ると、その年に旧病院の玄関等の改修工事があり、全身CTscanが導入されました。五稜会病院に名称が変更になったのは、平成9年です。平成15年にストレスケア・思春期病棟の運用が開始され、平成17年には医療機能評価機構の認定を受け、オーダリングも開始になりました。電子カルテの運用は平成22年のことです。その後、平成26年に外来・新病棟が完成となり、現在に至っています。平成30年9月には北海道胆振東部地震などの災害もありましたが、大きな問題もなく平成が終わりました。
 精神科医療は常に変化しています。時代の流れに逆らうことはできません。平成時代は、五稜会病院にとって組織改変の時期でもありました。令和元年となって、さらなる病院機能の充実と円熟期に移行したいと考えております。新しい時代の流れに沿った、常に進化し続ける五稜会病院にしたいと願っています。皆様も、健康で豊かな生活が送れるような、令和時代にして下さい。
 令和元年5月11日 中島公博

平成31年度の入社式

平成31年4月1日、五稜会病院には多数の新人が入社しました。入社式での挨拶をご紹介致します。
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 新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。早く、五稜会病院の雰囲気、職場に慣れていって下さい。
 さて、今日は、新しい年号が菅義偉官房長官から発表されました。「令和」であります。新しい年号の年に五稜会病院に入ったことで、思いで深いことになるかと思います。「平成」は後1ヶ月ありますから、皆さんは「平成」最後の新人ということになります。
 精神科医療をとりまく環境は大きく変化してきております。厚労省からは、地域包括ケアもさかんに叫ばれています。当院に来院する患者さんも、統合失調症の精神病圏の方は減ってきて、発達障害や様々の人間関係、職場・学校での不適応を来たして受診される方が増えてきています。
 我々の使命は、地域の精神科医療の中心病院として、患者さんへのサービスを提供することです。そこで大事なのは、多職種連携、多職種協同作業です。精神科医療は、一つの職種ではできません。多職種で情報を共有化して、患者さんにとって最良の医療を提供することです。ここにいます先輩や他の職種の人も皆、優しい人ばかりです。わからないことがあれば、遠慮なく聞いて下さい。
 精神科病院は病んでいる人相手の仕事です。「人に優しい、安心、安定した病院」創りを皆さんと一緒にしていきたいと思います。今後の活躍を期待しております。本日は、おめでとうございます。
(平成31年4月1日:中島公博)

平成30年を振り返って

 札幌では、11月22日にようやく初雪が降りました。実に100年ぶりに一番遅い初雪。本当は降って欲しくないのですが、地球は太陽の周りを廻って公転しているので自然現象は仕方ありません。
 今年もあと1ヶ月。この1年、スポーツでは、冬期オリンピックでの道産子選手の活躍もありました。サッカーワールドカップロシア大会、日本代表も半端ない活躍をしました。そして、コンサドーレ札幌の躍進、12月1日の最終戦では前半2-0でリードしていたのですが、残念ながら2-2の引き分けに終わりました。惜しかった!!(会場で観戦しました)。ACL(アジアチャンピンオンズリーグ)の自力出場は逃しましたが、それでもJ1で4位。皆な一生懸命戦っているんだなと思います。
 今年も何本かの映画を観ました。直近では、フレディ・マーキュリーを中心とした、イギリスのロックバンドQueenの成功から挫折、そして復活劇を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」。クライマックスは1985年のライブ・エイドでの伝説的な復活パフォーマンス。「伝説のチャンピオン」の背後にはあんな物語があったなんて感動ものです。高校の頃、Queenの他にレコード屋さんで「LED ZEPPELIN Ⅳ」をなけなしの小遣いで買ったことがありました。このアルバムのなかの「Black Dog」、「Stairway to Heaven(天国への階段)」は名曲で最も好きな曲のひとつです。
 日本の映画では、黒木華さん、樹木希林さん出演の「日日是好日」を観ました。やりたいことを見つけることができず日々を漠然と過ごしていた大学生が、茶道を通じて進む道を模索していく姿を優しく描いた作品です。「世の中にはすぐわかるものと、すぐわからないものがある。すぐにわからない物は長い時間をかけてすこしずつわかってくる。」と言っていました。
 本当にその通り。精神科領域は、人生そのものに触れることもあり、何となくこころに残ります。
 平成30年12月1日 中島公博

平成30年9月6日、北海道大停電

 日本は本当に災害の多い国です。札幌は比較的台風や地震災害が少ないと思っていましたが、平成30年9月5日の台風21号の強風(自宅は停電)と9月6日3時7分の北海道胆振東部地震には本当に驚かされました。胆振地方厚真町を中心に41名の方が亡くなり、今なお避難所暮らしの方も多くいます。
お悔やみ、お見舞い申し上げます。
 地震は、五稜会病院の所在する札幌市北区で震度5強、隣の東区では震度6弱と、こんな大きな揺れは生まれて初めての経験でした。そして全道に渡る大停電です。早速、病院には職員が早朝から駆けつけ、診療開始前に災害対策本部を立ち上げ、今後の対応について会議を行いました。停電で非常用の電源しかないので外来は必要最小限にして、入院予定の受入れも延期、病棟2階、3階までの食事の配膳、断水(地下水のポンプくみ上げ)になった水の運搬をどうするか等の打合せを行いました。
 以前にも、病院近くの電柱に雷がおちて停電になったことがあり、その時の対応が非常に役に立ちました。外来は非常電源のみで電子カルテは使用できましが、処方箋は手書きになりました。定時の災害対策会議を行い、情報の共有、今後の対策などを確認。9月6日(1日目)が何とか終わり、9月7日(2日目)は午前に復旧するとの期待もはずれ、午後もずっと停電のままでした。「止まない雨はない」「電気の点かない停電はない」と職員を鼓舞しながら病院機能の回復を待ち続けました。結局、電気が点いたのが、9月7日20時30分過ぎです。まる2日近くの停電でした。
 季節的にも暑すぎず寒すぎずの気温だったのが幸いでした。大きな被害もなく、停電も2日間でしたので、患者さんの動揺も少なかったものと思います。今回の地震・停電を通して、職員の結束力を感じました。災害に備えて日頃の準備が必要です。被災された方の一刻も早い復旧をお祈り致します。
平成30年9月9日 中島公博

リラ冷え

 札幌は6月中旬というのに寒いくらいです。我慢できなくて、自宅では暖房のスイッチを入れました。病院にも暖房が入っています。寒くては安心して、しっかりと眠れません。気分も下がります。心身の健康には「寝るのが一番」ですからね。
 この時期、北海道は「リラ冷え」になります。別名、「蝦夷つゆ」です。心臓移植のテーマや大人の恋愛小説をたくさん書いた、札幌医大出身の渡辺淳一先生の小説に「リラ冷えの街」というのがあります。「リラlilas」はフランス語読みで、英語では「ライラックlilac」、和名では、「ムラサキハシドイ(紫丁香花)」、紫の花が枝の端に集まって咲くことから、「端に集う」という様子を表して命名されたそうです。札幌市の花にもなっていて、6月にはライラック祭りが開催され、ヨサコイ祭り、札幌祭りへと続きます。この時期は、いつも天気がぐらついて寒暖の差が激しく、心身の不調になる方も多くいます。適応不全にならぬよう、上手く対応して下さい。
 さて、6月15日、FIFAワールカップサッカーロシア大会が開幕しました。かつて、2002年に札幌ドームで開催されたワールカップのイングランドーアルゼンチン戦を間近に観たのを思い出します。スーパスターのベッカムが格好良く出ていたゲームで、フォークランド紛争後の「因縁の試合」と言われたものです。イングランドの応援団、フーリガンのものすごい熱い声援が印象的でした。 
 札幌でも、ようやく晴れ間が見えてきました。これから、夏に向かって一番良い季節になります。私は、大学時代はサッカー部に所属していたのですが、東医体(東日本医科学生総合体育大会)では、内地(本州)のものすごい暑い中で準優勝、3位となったことがありました。大学医学部のレベルとは全然と違いますが、ワールドカップサッカーでも日本代表の熱い戦いを期待したいものです。
平成30年6月15日 中島公博

2つの学会認定医になりました。

 医療の世界では学会の専門医・認定医制度が普及しています。これは、医学の高度化・専門化に伴い、その診療科や分野において高度な知識や技量、経験を持つ医師を学会が認定するという制度です。平成30年4月、小生は、新たに2つの精神科関連の学会の認定医になりました。
 一つは、一般社団法人日本児童青年精神医学会認定医です。学会が、この先生は児童青年精神医学に関して広汎な専門知識と豊かな臨床経験を具えている臨床医であるとお墨付きを与えたものです。認定医は、平成30年4月現在で340名、北海道では13名(学会ホームページ掲載)。資格要件は、5年以上の学会入会歴、18歳未満の症例3例のレポート(4,000~5,000字)、30症例の経験リスト提出です。
 2つ目は、日本司法精神医学会の学会認定精神鑑定医です。この制度の目的は、質の高い精神鑑定を行える医師を認定することで、精神鑑定業務の円滑化を図ること、精神鑑定に携わる人達の目標を作ること、我が国の精神鑑定の質を向上させることとされています。資格要件は、学会に入会していること、過去5年間に自ら鑑定人として行った精神鑑定例5件の鑑定書と要約書、これが通れば1次試験合格で、2次試験として3人の面接官による45分間の面接試験があります。この認定医は、とてもハードルが高いものです。平成30年4月現在、学会ホームページに掲載されているのは全国で40名です。
 学会認定医になるには、それまでの臨床の蓄積とたゆまぬ努力が必要です。これに甘んじることなく、さらに医療の質を高め、患者さんにとって最善の利益に繋がるように努めたいと思います。
平成30年5月10日 中島公博

平成30年度開始にあたって

 平成30年度が始まりました。新たに入学・入社する方は期待と不安がおり混ざっているのではないでしょうか。早く慣れて、人生を楽しみながら学業・仕事、それぞれの役割に励んで欲しいです。
五稜会病院でも新しい新人を迎えます。以下は入社式の理事長の挨拶(抜粋)。
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 五稜会病院職員を代表してご挨拶申し上げます。
新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。 早く、病院、職場に慣れていって下さい。 4月・5月は対人関係での問題で受診相談される方もいます。先輩や他の職種の人も皆、優しい人ばかりです。わからないことがあれば、遠慮なく聞いて下さい。
 五稜会病院は、多職種連携を深めている病院です。精神科医療というのは、多職種で情報を共有化して、患者さんにとって最良の医療を提供することです。それを実践していって下さい。
 さて、平成30年4月は診療報酬改定がありました。点数が下がっている項目もあります。また、北海道では、新たな医療計画も策定されました。それぞれの職務も大事にしながら、診療報酬、点数について、コストや精神科医療についても意識を深めて戴きたいと思います。
 精神科病院は病んでいる人相手の仕事です。人に優しい、安心、安定した病院創りを皆さんと一緒にしていきたいと思います。
皆様の今後のご活躍と五稜会病院のさらなる飛躍を祈念してご挨拶と致します。
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 というような内容です。
でも、人前に出るとどうしても緊張します。それが、ひどく苦痛で、それから逃げてしまう、避けてしまうようになると、社交不安障害の診断がつく可能性もあります。人前で何かをするときに緊張するのは当たり前。多少の緊張感は、良いストレスで刺激になっていいと思って挨拶しています。
平成30年4月2日 中島公博

断・捨・離

 断捨離は、ヨーガの行法である断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう)を応用したものだそうです。
 「断」は、入ってくるいらない物を断つ。「捨」は、家にずっとあるいらない物を捨てる。「離」は、物への執着から離れる。不要な物を断ち、捨てることで、物への執着から離れ、自身で作り出している重荷からの解放を図り、身軽で快適な生活と人生を手に入れるということです。これは、単なる片付けとは違って、ヨーガの行法が元になっており、一線を画しているのだとか。
 弘兼憲司の「60歳からの手ぶら人生」(海竜社)という書籍があります。読んでみました。「持ち物を捨てる」、「友人を減らす」、「お金に振り回されない」、「家族から自立する」、「身辺整理をしたその先に」、という5つの章からなっています。「もったいない」という固定観念に縛られた心を開放し、持ち物を半分くらいにするという覚悟を決める。物を買うと家中荷物が増えます。美味しいものを食べる、外に出る。旅行する。海外でも日本でも。そうすれば、物を買わなくても日本の経済も発展するかもしれません。一読をお勧めします。
 さて、精神科領域ではどうでしょうか。外部からの刺激やストレスで負担になっている方もいます。「断」つことも大事です。あれこれと手を出さないで必要なことだけに集中する。急がないものは「捨」てる。また、人間関係に悩まされている方も多くいます。母親との関係、夫婦関係、兄弟姉妹の確執など。少し距離をおいて「離」れるのも良いかもしれません。きっと楽になりますよ。
 平成30年2月4日 中島公博

平成30年、戌年になりました。

 平成30年です。平成といえば、昭和64年1月7日、昭和天皇が崩御された後に小渕恵三官房長官が「平成」と記者会見で発表したのが思い出されます。1月8日から「平成」となり、あれから既に30年も経ちました。平成生まれも既に30歳の方もいらっしゃるということです。
 来年の平成31年4月30日に今上天皇が退位するとの報道があります。従って、5月1日からは元号も「平成」から新元号に変わります。どんな元号になるか興味が湧きますね。字画数も少ないものにするとか。でも、新年号生まれの人の年齢の計算をするのに苦労しそうです。
 最近の若い先生方に生まれた年を聞くと、西暦で答える人が多くなりました。昭和生まれとしては、多少異和感を感じます。というのは、我々の年代は元号で答えるのが当たり前で、西暦で言うとなるといちいち計算しないとなりません。昨今は、国際化の流れでしょうか。生年月日以外にも西暦での記載が多い様に思います。精神科では各種書類は元号で書く欄があるので、当院では病歴の記載には元号を用いています。公文書で元号の使用を義務づけないととますます元号の存在感が薄れて行きます。日本古来の伝統ですから大事にしたいものです。
 何はともあれ心身の健康が一番です。今年もすっばらしい「ワンダフル」な年にしましょう。
  (平成30年1月8日:中島公博)

平成29年、今年一番の映画

 平成29年(2017年)、一番の映画と言えば、「LaLaLand」を選びます。アメリカでの公開は2016年。ピアニストの恋愛を描いたミュージカル映画で、脚本・監督はデミアン・チャゼル、主演はライアン・ゴズリング(Sebastian役)とエマ・ストーン(Mia役)。第89回アカデミー賞では監督賞、主演女優賞(エマ・ストーン)、歌曲賞(City Of Stars)など6部門を受賞しています。どうやったらこんな素晴らしいシナリオを書けるのか驚きです。
 私は、いつも「LaLaLand」のSound Truck版を車の中で聞いています。グリフィス天文台でのワルツを踊る時の曲「Planetarium」やMiaがオーディションを受けるシーンの「Audition」(The Fools Who Dream)はとても素晴らしいです。曲を聴くと、映画のシーンが思い浮かぶようです。2人の交際が始まるグリフィス天文台での「Planetarium」のこころ踊るような展開、「Audition」での念願叶っての合格、でもその後の悲しい結末を暗示するようなメロディ・・・感動ものです。
 古いですが、ミシェル・ルグランが音楽を担当した1964年フランスのミュージカル映画の「シェルブールの雨傘」。ジャック・ドゥミ監督。第17回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。初めてこの映画を観た時には、地の台詞が一切なく全編音楽のみであり、びっくりした記憶があります。
 この2つのミージカル映画の内容は時代の差はあれど似ています。出会い、恋愛に発展、楽しい一時、別れ、再会。そして、お互いの現状を知る、はかなくも切ない終演。でも、最後に主人公の男性側も幸せなのが良いです。自暴自棄になってストーカーみたいになったら困りますよね。辛いことがあっても曲を聴くと嫌なことも忘れます。「すっばらしい」映画に出会った1年でした。
 平成29年12月24日 中島公博

第22回日本ストレスケア病棟研究会開催御礼

 平成29年10月21日(土)、札幌は快晴に恵まれました。その1週間前から急に寒くなり、山では雪も降っていましたが、紅葉も生える素晴らしい天気のなか、第22回日本ストレスケア病棟研究会(会長:不知火病院徳永雄一郎院長先生)が五稜会病院多目的ホールで開催されました。
 この研究会は、ストレス病棟を有する全国約20病院の集まりです。毎年、会員病院の持ち回りで研究会を開いており、今回は五稜会病院が担当当番で、1年も前から準備をしてきました。お陰様で、遠くは九州から、総勢86名の参加者がありました。
 研究会のテーマは、「ストレスケア病棟を中心としたメンタルケアプログラムの実践」としました。ストレスケア・思春期病棟では、これまでの経験の積み重ねで種々のプログラムを創って実践しており、その一部を紹介しました。昼休みには、参加者がストレスケア・思春期病棟の見学をして戴きました。午後は、シンポジウム「ストレスチェック制度後のEAP事業の実情と課題」と多職種協同で関わった事例検討を行いました。プログラムの内容も充実していたと思います。
 参加者の皆さんが、口をそろえておっしゃっていたのは、病院も新しく、病棟もきれいだが、それ以上に研究会の運営を担ってくれたスタッフが実に生き生きしていたということです。
 私は、「創造」という言葉が好きです。人を「創る」ことこそが、良い病院、「人に優しい病院」創りのために必要なことと思っています。研究会の参加者の感想を聞いて、五稜会病院には良い財産があるなと実感しました。研究会参加者のみなさんとスタッフに感謝、感謝!!
  平成29年10月25日 中島公博

ゴッホ展-巡りゆく日本の夢-

 北海道立近代美術館で開催されているゴッホ展を観ました。テーマは「巡りゆく日本の夢」。フィンセン・ファン・ゴッホ(1853年オランダ生まれ)は、日本の浮世絵版画を模写した油彩画を描き、構図や色彩を学び取るなど、浮世絵がゴッホの絵画表現に大きな役割を果たしているのだそうです。当時のパリは、ジャポニズムといって、日本趣味ブーム。19世紀中の万国博覧会へ出品などをきっかけに、日本美術(浮世絵、琳派、工芸品など)が注目され、西洋の作家たちに大きな影響を与えていました。ゴッホは、ジャポニスムの影響を受け、浮世絵や美術作品や日本を紹介した書籍をみながら、日本のイメージを醸成していったのでしょう。ゴッホの絵を観ながら、当時のゴッホの思いを想像するとわくわくします。日本人はゴッホ作品が大好き、これは相思相愛といってもいいです。
 病跡学という、歴史的に傑出した人物の生涯を精神医学及び心理学的観点から研究分析し、その活動における疾病の意義を明らかにしようとする学問があります。ゴッホは、作品の強烈なイメージと共に、耳きり事件としてよく知られている生前の奇行、そして37歳の若さでピストル自殺したこともあり、病跡学の格好の対象になっています。ゴッホは、統合失調症、双極性感情障害とかてんかんであったとか、アスペルガー障害であったとも言われているのです。
 ゴッホには、献身的な支援をしてくれた弟テオがいました。テオは、兄フィンセントの拳銃自殺の2ヵ月後、精神錯乱に陥り、兄の自殺からわずか半年で兄の後を追うように亡くなります。2人は、深い絆で結ばれていたのでしょう。炎の人、ゴッホが亡くなって、弟も燃え尽きたのかもしれません。
  (平成29年9月18日:中島公博)

ラジオ体操と運動

 年齢とともに体力も落ち、昔はゴルフなんてあんな年寄りの遊び事と思っていたのですが、今ではたまにプレイすると息も絶え絶えになります。でも、今年の病院のゴルフ大会では奇跡的に優勝してしまいました。少年N君は、小学生の頃から足も速く、小学・中学と大学の体育祭でもリレーの選手でした。大人になってからも娘達の幼稚園、小学校のPTAのリレーでも選手を務めてきました。中学校の時、校内マラソンで、コース中盤の心臓破りの坂で苦しくて苦しくてもう休もうかと思っていたときに誰かが「頑張って」と言ってくれたことが背中を後押ししてくれ、その後快調なペースで走り続け、見事校内2位になったことがありました。応援ってすごく大事なことなんですね。これは、生活をしていく上でも、精神科の病気を良くしていく上でも、同じことが言えます。
 10年くらい前までは朝5時の起きて、30-40分くらい自宅近くの遊歩道をジョギングしていたのですが、さすがに今の身体では無理なので、その後は朝6時30分のラジオ体操を毎日欠かさず行っています。ラジオ体操と言えば夏休みを思い出しますね。カードにスタンプを押してもらい、夏休み最後のラジオ体操の後に鉛筆とかノートとかもらえるのが嬉しかったのがありました。今は、スタンプは押していませんが、健康な身体作りの後押しとして毎日続けています。ただし、ラジオ体操は録音してやったらダメです。朝の6時半が大事なのです。
 運動は頭の働きや精神状態の安定化にも繋がります。何もしないって本当に良くないです。五稜会病院では作業療法士やスポーツインストラクターが運動プログラムを充実させています。                     
平成29年9月2日 中島公博

精神保健福祉法一部改正と国会審議

 精神科では、精神保健福祉法という法律があり、入院の際にはその法律の則って手続きをする必要があります。内科外科ではそのようなものはありません。病院は医療法、医師は医師法、看護師は保健師助産師看護師法、薬剤師は薬剤師法の法律に規制されています。
 平成26年4月から現在の精神保健福祉法が施行されました。施行後の実態調査については、厚労省の補助金事業で日本精神科病院協会が委託され、私は担当者として関わり、「改正精神保健福祉法施行(平成26年4月)に関する業務のためのガイドライン」が発刊されています。この改正精神保健福祉法の大きな目玉は、保護者制度の廃止と医療保護入院の手続き変更でした。3年後の見直し規定があり、実態調査を踏まえて、医療保護入院の市町村長同意の緩和など、現場の負担がないような制度改正を要望しました。
 修正作業の中で起こったのが、平成28年7月26日の相模原の障害者施設殺傷事件です。事件を契機に措置入院の退院後の支援について、もっとしっかりやらないといけないんじゃないかという話になりました。改正精神保健福祉法の一部改正は、平成29年5月には参議院で附帯決議の伴いながらも可決されました。そして、6月には衆議院で成立するはず?だったのです。成立すれば、平成30年4月から施行になっていました。しかし、国会審議では重要法案や森友学園問題、加計学園問題などの審議に時間がとられ、精神保健福祉法一部改正法案は継続審議になってしまいました。厚労省の補助金事業では「措置入院のガイドライン」も法案に合わせて作る手はずでしたが、それも遅延しています。
 国会というのは、三権分立の中で国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関です。国会議員の皆さんへ、法律が決まるのを待っている人々がいるのを忘れないで欲しいものです。
   平成29年7月26日 中島公博

夏の思い出

 夏になると、「千と千尋の神隠し」の名曲、「あの夏へ ~One Summer's Day~」が頭によぎります。これから、海の日や山の日の、夏真っ盛りよりは、夏が終わって、2学期が始まるというイメージでしょうか。今回は、少年N君の夏休みのほろ苦い思い出を披露します。  
 小学生の夏休み。住んでいる町の地区別の野球大会がありました。1チームには小学生が3人くらいがメンバーに入り、中学生と小学生の混成チームで対抗試合を行うものです。野球の練習のため、自転車で近くの(といっても4kmくらい離れた地域の小学校)グランドに毎日行っていました。ある日、母(今でも健在で農作業に従事)がおにぎりを作って持たせてくれました。今時のきれいな海苔のついたものではなく、自宅庭に植えていた紫蘇の葉をまいたものです。せっかくのおにぎりが先輩の中学生に食べられてしまったのです。N君は、それが悔しいのと紫蘇の葉で作られたおにぎりなんて恥ずかしいとの気持ちが動揺して泣きながら自転車で家路についたことがありました。
 振り返って考えると、今では紫蘇の葉で作られたおにぎりは贅沢レシピにも載っています。あの時は、そんな考えもなく、街で売っている定番の海苔のおにぎりが良かったのでしょうが、この年になると紫蘇の葉のおにぎりを食べたい気持ちです。時間とともに、見方考え方が変わります。これは、精神科で盛んに用いられてる認知行動療法にもつながるのではないかと思っています。  
 還暦になると、昔のことを思い出します。もう一度、小学生からやり直したいですね。
  (平成29年7月14日:中島公博)

レンガ積み

 病院の中庭に小さなハーブ園が出来ました。私も、花壇のレンガ積みに参加し楽しく行いました。最上段には、職員がそれぞれの思いを徴したレンガが積んであります。レンガは無料で分けてもらった江別産です。実は、10数年前、自宅庭にイギリス産の高級?レンガで高さ50cm、横幅10mにもなる塀を造ったことがあります。レンガの積み方には、レンガを長手だけの段、小口だけの段と一段おきに積むイギリス積み、一段に煉瓦の長手と小口を交互にするフランス積みがあり、私が積んだのはフランス積みでした。これはレンガを半分に切る必要がありその分手間がかかります。基礎も掘り、モルタルをこね、水平器も使ってレンガを積みました。ドイツ積みやオランダ積みもあるんです。
 イソップ童話の「3人のレンガ職人」の話を知っていますか。内容が「目的と目標」を考える上で参考になり、度々「訓話」として出てくるものです。炎天下にレンガを積んでいる3人のレンガ積みの側を、旅人が通りかかります。旅人は、それぞれ3人に「あなたは何をしているのですか?」と声をかけます。旅人の問いに対する答えは三者三様です。1番目のレンガ職人は、「レンガ積みに決まっているだろ」と答えます。2番目は、「大変だけど、この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ」と言います。そして、3番目のレンガ職人はこう答えます。「歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ。素晴らしいだろう」と。
 1番目は特に目的もなく仕方なくといった感じで、2番目は生活費を稼ぐだけのようです。3番目の職人は、後世に残る事業に加わり、世の中に貢献するというはっきりとした目的を持っています。
 小さな花壇のレンガ積みでしたが、私たちがレンガ積みを行っている時には、ハーブ園が出来あがり、ハーブの香りが漂って、患者さん達に少しでも癒やしを与えられたらという思いでした。ハーブ園を見たときに、少しでもハーブ園造りをした私たちの思いを感じて下されば幸いです。
平成29年6月17日 中島公博

精神科の病名

 日々外来診療で患者さんとお話しをしていると色々と気づかされることがあります。他の精神科医療機関からの紹介された患者さんのお話しです。病名は何て言われていましたかと尋ねると、病名を聞いていませんと答える方も結構います。本当に主治医が病名を伝えていないのか、あるいは病名を言われていても患者さんが覚えていないのかは定かではありません。
 ほとんどの医療機関は保険診療で診察をしていますので、病名をレセプトに記載しないといけません。初診時でいきなり病名が決まらないこともありますので、そういう場合には状態像診断で病名をつけることもあります。例えば、抑うつ気分が強い症状であれば「抑うつ状態」、不安感やさらには抑うつ症状があれば「不安状態」「不安抑うつ状態」といった感じです。幻聴とか妄想があれば「幻覚妄想状態」です。典型的な症状が持続すれば、後にうつ病や統合失調症の病名がつきます。
 精神科では、患者さんがどんな症状で悩んでいるのかを聞き出し、まずは辛い症状を軽減するための方策を探ります。はっきりとした診断名は後からついてきても良いのです。精神科で診てもらっている場合には状態像診断でも良いので、自分の病名について主治医に教えてもらうのも大事です。
 平成29年5月15日 中島公博

新人スタッフを宜しくお願いします。

 平成29年4月3日、五稜会病院の入社式が行われました。理事長としての挨拶の要約です。
 五稜会病院職員を代表してご挨拶申し上げます。新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。五稜会病院での新しい生活が始まります。
 皆さんの仕事は、まずは、病院に慣れることです。 わからないことがあれば優しい先輩に聞いて下さい。五稜会病院は、多職種連携を深めています。精神科医療というのは、多職種で情報を共有化して、患者さんにとって最良の医療を提供することです。それを実践していって下さい。
 来年の平成30年には、医療計画策定、診療報酬改定など精神科医療福祉の大幅な改正があります。当院は民間の精神科病院です。それぞれの職務も大事にしながら、診療報酬や精神科医療全体の枠組みのなかで、五稜会病院の仕事があるのだということを気にとめていただきたいと思います。
 精神科病院は病んでいる人相手の仕事です。人に優しい、安心、安定した病院創りを皆さんと一緒に創っていきたいと思います。皆さんのご活躍と五稜会病院の発展を祈って挨拶と致します。
 平成29年4月3日 中島公博

うつ病の人に「頑張れ」は禁句か。

 新しい年が始まって、あっという間に2ヶ月も過ぎました。新年度の抱負は進んでいるでしょうか。新しい人間関係、学校生活、職場などに入ると何かとストレスになります。最初は頑張れても段々と疲れが出てくることもあります。気分がすぐれない、意欲がない、興味がわかない、不眠が続いている、食欲がないなど、これらの症状が1日中ずっと、2週間続けば、精神科の診断基準ではうつ病と診断されます。昨今、うつ病の患者さんが増えた1つの理由には、診断基準に照らし合わせるとそれに該当する患者さんがたくさんいるということからかもしれません。
 うつ病を患っている人への対応に悩んでいる方も多くいらっしゃると思います。うつ病に「頑張れ」って言うなとよくいわれます。でも、本当でしょうか。「頑張れ、ニッポン。」リオデジャネイロのオリンピックでは選手が頑張ってたくさんのメダルをとりました。東日本大震災では、海外からも「頑張れ日本!」の声があがりました。多少は頑張らないと結果はついてきませんし、病状も自分の生活もよくなりません。
 うつ病ではエネルギーが低下しているので、普段通りに頑張ると弊害が大きくなります。病状に合わせて、その力の範囲内で行動することです。うつ状態の人には、「無理しないで、自分の出来る範囲内で頑張ってね」と言うことです。
 頑張っている人が安心して過ごせる世の中になって欲しいですし、応援もしたいですね。
 平成29年2月25日 中島公博

平成29年、今年は酉年です。

 平成29年の新年は、初日の出は拝めませんでしたが、新たな1年が始まると思うと、外の冷気と同じくらい身が引きしまる思いが致しました。今年の五稜会病院には酉年の年男、年女が多数います。私も年男ですが、酉のように五稜会病院ともども飛躍していきたいと思います。
 病院を取り巻く環境は年々厳しいものがあります。常に最新の医療技術を提供しなければ、患者さんからそっぽを向かれ、閑古鳥がなくような事態にもなりかねません。酉年といっても、閑古鳥は来て欲しくないですね。医療施策からみると、平成30年には診療報酬改定、介護報酬改定、障害報酬改定、そして、医療計画、障害福祉計画、介護保険事業計画策定など重要な事項が目白押しです。平成29年はその諸々の計画段階の重要な年となるわけです。
 厚労省では、平成28年1月から、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」がはじまっており、平成29年3月までには、改正精神保健福祉法の見直しが行われ、昨年発生した相模原事件を踏まえた措置入院制度の検討も行われています。
  こういった荒波のなかで、五稜会病院は常に治療内容の充実を図りながら、「良質かつ適切な医療」を展開し、「ひとに優しい精神科病院」創りをしていきたいと思っています。
 今年の一文字として、「穏」の字を挙げました。厳しい環境のなか、平穏無事な1年を過ごしたいと思います。皆様のご健康を祈念しています。
(平成29年1月20日:中島公博)

平成28年も終わり~背中を押されて~

 平成28年、今年はどんなことがあったでしょうか。でも、以外とすぐには思い出せません。
 夏にはリオデジャネイロでオリンピックがありました。日本人の活躍が頼もしかったですね。体操、柔道、レスリング、バドミントン、水泳などたくさんメダルをとりました。陸上のリレーもすごかったです。アジア人がリレーでメダルを取るなんて想像もできなかったことです。
 スポーツと言えば、北海道日本ハムファイターズが日本一に輝きました。広島カープの「神ってる」が流行語大賞になりましたが、ゲーム差最大11.5もあったのを吹き飛ばしたのですから、日ハムも神ってました。北海道コンサドーレ札幌もJ2優勝、J1昇格となりました。私は大学の時はサッカー部でしたので、ひとしお嬉しく思います。昔は、Jリーグもなく、元旦の天皇杯サッカーの観客もまばらでしたので、Jリーグ優勝決定戦の観客の多さをみると隔世の感があります。サッカーはなかなか点が入らないので、試合中はとても苦しいのですが、私の経験でも点を入れた途端に気持ちが楽になって身体の動きも良くなることがありました。応援(ほとんど観客はいませんでした)があると背中を押されたような感じになります。
 我々の普段の生活や精神疾患に患っている場合も同じです。背中の一押しがあれば、勇気を出して前向きに進むことが出来ます。自分が病んでいる時には身近な人に背中を押してもらいましょう、そして自分が元気な時には、立ち止まっている人、困っている人の背中を押してあげて下さい。
(平成28年12月5日:中島公博)

ボブ・ディランさん、ノーベル文学賞おめでとうございます。

 今年のノーベル文学賞はボブ・ディランさんに決まりました。ボブ・ディラン(1941年生まれ)は、アメリカのミュージシャン。「風に吹かれて」「時代は変る」「ミスター・タンブリン・マン」他多数の楽曲により、1962年のレコードデビュー以来半世紀以上にわたり多大なる影響を人々に与えてきた。現在でも、「ネヴァー・エンディング・ツアー」と呼ばれる年間100公演ほどのライブ活動を中心にして活躍している、とのことです(Wikipedia)。
 授賞理由は「アメリカの輝かしい楽曲の伝統の中で新しい詩的表現を生み出してきたこと」とされ、「英語文化の伝統の中でも偉大な詩人です」とも言われています。でも、英語の詞なので私にはどれだけ偉大なのかはわかりかねます。ガロの「学生街の喫茶店」に歌詞の中にある「ボブ・ディラン」ってどんな歌手なのかと思っていただけです。
 「晴れたらいいね」というドリカムの吉田美和さんの歌があります。NHKのテレビ小説「ひらり」の主題歌でした。主人公演じたのは石田ひかりさん。石田ゆり子さんは、お姉さんですね。「雨が降れば川底に沈む橋越えて」、「こくわの実また採ってね」という歌詞、私の故郷をありありと思い出させるフレーズなのです。自宅近くに、通称”もぐり橋”という橋があり、川が増水すると橋が本当に川底に沈んでしまいます。小さい頃には、よく”こくわ”の実を採って食べました。今でも、苦しい時、辛い時に、この歌を思い浮かべます。すると、妙に元気になり、頑張ろうという気になります。歌詞が人のこころを元気づけているのです。私にとってのノーベル文学賞です。
     (平成28年11月5日:中島公博)

映画って、本当にいいですね。No.1

 映画「君の名は。」や「シン・ゴジラ」がヒットしています。「シン・ゴジラ」は、政府の危機対応の格好の教材になるとか。聴覚障害の少女のいじめを扱った「聲の形」も聴覚障害や障害者への対応について考えさせられる映画です。福山雅治主演の「SCOOP」も純粋に面白いかも。
 映画は、監督、原作者の作り物でも、その中には現実にありそうな人間関係とか事件の対応とかで、登場人物の心理描写が実にうまく映像化されています。映画監督は、相当に人間の感情の機微に長けた人だと思います。
 精神疾患を扱った映画が多くあります。統合失調症では、ノーベル経済学賞受賞のジョン・ナッシュの半生を描いたアメリカ映画「ビューティフル・マインド」、アカデミー賞もとっています。作中には電気痙れん療法のシーンもありますが、専門家からみるとかなりオーバーです。現在は、麻酔下で行う修正型頭部通電療法を安全に行っています。マイナーですが「おかえり」という日本映画もあります。大恋愛の末に結婚した若い夫婦。夫が、ある日妻の不審な行動に気づきます。妻の精神科受診から入院までの実際がよくわかりますし、家族の戸惑いも実にうまく表現しています。アルコール依存症がテーマの「酒とバラの日々」、アルコールに溺れる夫婦の姿を通してアルコール依存症の恐ろしさをリアルに描いたものです。ジャニス・ジョプリンがモデルとなった「ローズ」、60年代のアメリカを舞台に酒と麻薬に溺れながらも歌いつづけた女性シンガーの愛と激情の人生の物語です。2つともテーマ曲がジャズのスタンダードナンバーとしても有名です。
 秋の夜長、何をしようかと思うとき、映画を観るのをお勧めします。映画は最高の娯楽です。
それでは、次回をお楽しみに、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
    平成28年10月9日 中島公博

「夏休みの思い出」

 「麦わら帽子はもう消えた、たんぼの蛙はもう消えた、それでも待ってる夏休み。姉さん先生もういない、きれいな先生もういない・・・畑のとんぼはどこ行った、あの時逃がしてあげたのに、ひとりで待ってる夏休み。・・・」  
 昭和46年の吉田拓郎の「夏休み」という歌です。当時私は中学3年生でした。友達数人と女の先生とで、今は廃線となった広尾線に乗って、2泊3日で海にキャンプに行ったのを思い出します。小さい時は、自宅そばの田んぼの用水路にフナやどじょうがたくさんいて遊んだことがありました。とんぼも空一杯にいたような気がしますが、本当にどこに行ったんでしょうか。
 平成13年7月日本公開の「千と千尋の神隠」。宮崎駿監督、スタジオジブリのアニメーション作品。日本歴代興行収入第1位の大ヒット作品なので皆さんもご存じかと思います。異世界に迷い込み、神々の訪れる湯屋で働くことになった少女、千尋の冒険と成長を描くファンタジー物語。久石譲のピアノの曲「あの夏へ」を聞くと、過ぎ去った夏を思い出します。長女が小学1年になった年で、秋の学習発表会に小学生の児童がハープで「いつも何度でも」を大変素晴らしく演奏をしていたのが印象的でした。この曲もジーンときますよね。
 さて、皆さんも色々な「夏の思い出」があることでしょう。今年の夏は、札幌でも30度を超えて蒸し暑い日が続いています。8月11日は初めての国民の祝日「山の日」。かつて、空沼岳、黒岳、樽前山、アポイ岳に登ったことがありますが、今は体力がないので、麓から山を拝む岳にしておきます。
平成28年8月11日 中島公博

病院機能評価受審終わる

 平成28年5月25日、26日の1日半にわたり、病院機能評価の受審がありました。病院機能評価とは、病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動が、適切に実施されているかどうかを評価する仕組みです。五稜会病院の初回受審は、平成16年になります。この時は、病院理念に始まって各種書類整備で大変な苦労をした覚えがあります。でも、そのお陰で「五稜会バイブル」というマニュアル等の書類整備が出来て、病院機能の近代化が図られました。2回目の受審は平成21年でした。翌年には、朝の全体ミーティング(医師、看護師長、各部門の約30名)での情報共有、電子カルテ導入がありました。そして、今回の3回目の受審です。
 サーベイヤー(評価調査者)が中立・公平な立場で所定の評価項目に沿って病院の活動状況を評価しますが、サーベイヤーからたくさんのお褒めの言葉を頂戴しました。まず、病院にきて、スタッフが生き生きしていること、病棟では各種疾患教育の内容が充実していること、病院の取り組みをホームページなどで積極的に広報、情報発信していることなどです。
 至らぬ点もまだまだあります。明らかになった課題に対しては、今後改善に取り組んでいき、医療の質向上を図っていきます。機能評価準備に携わったスタッフ、日頃から病院機能充実に関わっているスタッフ、そして当院を評価して下さっている患者さんや医療関係者に感謝申し上げます。
(平成28年5月29日:中島公博)

北海道の5月の連休

 大型連休です。世間ではゴールデンウィークとも言っています。でも、北海道の4月末~5月の連休はちょっと違います。連休中は雪も降ることあります。先日も北海道では積雪30cmを越えた場所もありました。かと思えば、30度になることもあります。私が小学生の頃、同級生数人と自転車で十勝の池田から帯広まで約25kmサイクリングに行ったことがありました。そのときは確か30度を越え、帯広のサニーデパート(今はありません)に行った覚えがあります。連休中、温かければ花見も出来ますが、たいていはぶるぶる震えて桜の木の下でジンギスカンを食べるのです。毎年連休には大学の同期仲間とゴルフをするのですが、ゴルフ場のきれいな絨毯のような緑のフェアウェイとピンク色の桜の花、そして遠くに見える手稲山の残雪がコントラストになっていてとてもきれいです。これでゴルフのスコアがよければもっと気持ちが良いのですが、最近は寄る年波には勝てていません。
 ひとつの提案。北海道は4月末~5月初めの連休はまだ寒いので6月初めにして欲しいものです。
 平成28年5月1日 中島公博

平成28年4月、新年度開始

 平成28年4月1日、今年度も多数の有望な新人が五稜会病院の一員となりました。昨年と同様に新しい4階の研修室で入社式が行われました。理事長としての挨拶の内容をかいつまんで記します。
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 五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。 今日から五稜会病院での新しい1日が始まります。 今年度は4月1日から診療報酬改定があります。当院は民間の精神科病院です。それぞれの職務も大事ですが、診療報酬、点数についても多少気にする必要があります。  
 また、厚労省では平成28年1月から精神科医療のあり方検討会が始まっています。平成26年度の改正精神保健福祉法施行されましたが、今年が3年目の見直しの時期に当たります。医療保護入院の手続きの見直し、退院支援などが検討されることになります。日本全体の精神科医療全体の枠組みのなかで、五稜会病院の仕事があるのだということを気に留めていただきたいと思います。
 昨年は11月に二期工事が終了し、多目的ホールが完成しました。 これで、全ての工事が完了しています。 新しい病院、快適な環境の中で、次は新しい精神科医療の展開です。 
 精神科病院は病んでいる人相手の仕事です。人に優しい、安心、安定した病院創りを皆さんと一緒に創っていきたいと思います。 皆さんの活躍とともに五稜会病院の発展を祈って挨拶と致します。
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 というような内容です。精神科に限らず、人との関係創りってとても大事なのですが、最近はコミュニケーションが苦手な方も増えているようです。対人関係でのストレスが大きいと種々の精神症状を呈することにもなります。無理なく、程々に、自分の出来る範囲のなかで頑張っていきましょう。そして、周りの人は優しい配慮、気遣いをお忘れなく。これが、五稜会病院の「ひとに優しい医療、安心、安定した病院」創りの元です。
 平成28年4月1日 中島公博

平成28年、新年を迎えて

 平成28年1月、穏やかな新年を迎えました。例年、大晦日は病院の当直なので、元旦の初日の出は病院で見ているのですが、今年はあいにくの天気で日の出は見ることは出来ませんでした。今年は申年、その次は酉・・・ねうしとらうたつみ・・。かつて私の母校の北大の入学試験で干支の順番を答えさせる問題が出たことがありました。ついでに、にしむくさむらい(246911)って何のことだか知っていますか。今年はリオデジャネイロでのオリンピックイヤー、2月は29日あるのです。3月26日には北海道新幹線が新函館北斗まで開通します。札幌まではまだまだ先で恩恵も少ないですが、いずれ延伸されます。
 今年の五稜会病院は如何に。多目的ホールの完成で二期工事が終わり、平成25年から始まった工事も一段落。きれいになった建物の中で、あとは充実した精神科医療の展開を進めて行きます。まずは、こころと身体の健康のために、多目的ホールで運動を一杯していきたいと思います。昔とった杵柄、フットサルにも参加する予定です。
 新年にあたり、徒然になるままに記載しました。
 平成28年1月1日 中島公博

平成27年を振り返って

 平成27年の1年間ももうすぐ終わり。年をとるに従って1年が過ぎるのが本当に早く感じられます。地球の公転(太陽の周りを廻っている)の速度が速くなっているのでしょうか。小学校の6年間は随分と長いような感じでしたし、医学部の6年間(30年以上前になります)も長いような気がしましたが、今では5-6年と言わず10年もあっという間に過ぎ去ってしまいます。
 平成27年はどんな年だったでしょうか。例年、五稜会病院の忘年会で「1年を振り返って」とのお題目で職員の前で話しをしています。今年取りあげたのは、ノーベル賞受賞(大村智先生の生理学・医学賞、梶田隆章先生の物理学賞)、五郎丸ポーズ(ラグビーワールドカップ2015での日本代表の活躍)、マイナンバー通知でしょうか。私個人としては、6月に前庭神経炎という病に罹ってしまい、ひどい吐気と回転性のめまいに苦しみました。めまいがこんなに辛いものとは思いませんでした。1週間自宅で静養しましたが、身体全体がずっしりと重くいてもたってもいられないような状態でした。その時は、改めて健康の大事さを実感した次第です。自分の体調、精神状態が保たれてこそ、自分のやりたいことができます。年の瀬、皆様も御自愛下さい。(平成27年12月23日:中島公博)

「傾聴」について

 以前、このブログに書いたDr.倫太郎役の堺雅人さんのコメント。良い精神科医って、「人の話を寄り添って聞く人なんだろうなぁ」。精神科に限らず、人の話を聞くことが大事なのは論を俟ちません。これを「傾聴」といいます。精神療法の基本は、支持・受容、保証、そして「傾聴」です。悩んでいる方に対して、寄り添って大丈夫と言ってあげる、辛さ、訴えを先入観なくじっと聞いて上げるということです。医師になって30年、精神科医療に携わって20年余り、きちんと「傾聴」してるかどうか、こころもとありません。時に患者さんから、「人の話を聞きなさい」と、おしかりの言葉を受けることもあり、まだまだ修行が足りないことを自覚したりしています。
 さて、「家族という病」(下重暁子)という新書を読みました。最近、家族関係の悩みで受診する方も多いですが、家族間の力関係でがんじ絡めになってしまって、そこから抜け出すことが出来なくなっていることもあります。傾聴ばかりではなく、自分の意思を主張することも必要な時もあります。要は、バランスが大事だということですね傾聴についての拙文が日精協雑誌「時評」に掲載されています。どうぞお読み下さい。
平成27年11月8日 中島公博

精神科治療の基本は「規則正しい生活」です。

 平成27年夏、暑いです。東京など内地に比べれば北海道は涼しいからもしれませんが、8月5日には、北海道十勝の池田町(私の生まれ故郷)でも観測史上最高となった37.1℃を記録しています。夏休みはどうしても不規則な生活になりがちです。昔、中学の頃に夏休み前の全校集会で夏休みの課題と称して、「夏休み中はだらだらしないで規則正しい生活をこころがけましょう」とみんなの前で述べたことがありました。
 平成25年度の小学中学の不登校生は、12万とされています。五稜会病院にも不登校を主訴とした中学生・高校生の来院も目立ちます。最近は、夜中のスマホいじりやゲームに興じることで睡眠覚醒リズムがおかしくなっている方も多いようです。内科疾患と同様、精神疾患でも寝不足は色々な症状に関係してきます。呆として思考力が低下してしまう、気分が優れないなどや動悸、発汗、便秘、下痢等の自律神経症状の出現など・・・。
 当院のストレスケア・思春期病棟には不安抑うつ状態や摂食障害の患者さんが入院しますが、規則正しい生活を送ることを目的としている方も多くいます。精神科治療の基本は、抗うつ剤などの薬物療法や認知行動療法ではありません。治療の一歩は、「規則正しい生活」です。これなくして、抗うつ薬や抗精神病薬、安定剤の効果は得られません。メンタルの安定化だけではなく、夏ばて対策にも、早めの就寝と朝6時30分のラジオ体操がお勧めです。
 平成27年8月8日 中島公博

「Dr.倫太郎」

 平成27年春の新ドラマ。人々の心に寄り添い、その人間力で心の病を解きほぐしていくというスーパー精神科医のお話です。その名は日野倫太郎。主演は、ドラマ「半澤直樹」、「リーガルハイ」の堺雅人。シリアスな感じや喋りすぎはありません。良い精神科医って、「人の話を寄り添って聞く人なんだろうなぁ」との堺雅人さんのコメントです。
 実際の臨床現場では、芸者さん(蒼井優さん)やカウンセリングを受ける政治家は出てきませんが、東京ではあり得るのでしょうか。五稜会病院でも、ドラマのように殆どの患者さんが人間関係の問題にうまく対応出来なくて、種々の症状を呈して受診されています。気分が優れない、不安だ、眠れないなどの症状やアルコールの問題、拒食や過食など・・・。症状自体を治すといっても、その根底に潜む患者さんをとりまく人間関係、学校・職場との関係性を解決、あるいは折り合いをつけなければ症状の改善は出来ません。
 薬物療法の話しは出てきません。統合失調症や双極性感情障害などは、薬物療法は必須で治療の主体となりますが、対人関係から派生する種々の症状は、倫太郎のように患者さんをとりまく要因を探らないといけないのです。
 倫太郎もストレスを抱え、先輩の精神科医(遠藤憲一さん)に愚痴を言っている(精神科ではスーパーバイズというのでしょう)のですが、精神科医も人の子、見習いたいと思います。
(平成27年5月2日:中島公博)

平成27年4月、新年度開始

 平成27年4月1日、いつものように新棟4階で朝の全体ミーティング開始。突如、事務長からの発言。「理事長、勤続20周年、おめでとうございます」。大きな花束と、たくさんのスタッフからのメッセージを戴きました。ここまで来られたのもひとえにスタッフ全員の、そして患者さんからも力を戴いたお蔭かと思い、改めて感謝しました。でも今日は、4月1日エプリルフール?(笑)
 さて、平成27年度も有望新人が多数入社しました。以下、4月1日の入社式の挨拶です。
五稜会病院職員、先輩を代表してご挨拶申し上げます。
新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。
五稜会病院での新しい1日が始まります。私も勤続20周年、新たに始まるということで皆さんと一緒に新人のつもりで行きたいと思います。
 昨年度は診療報酬改定、改正精神保健福祉法施行、消費税増税などがありました。また、5月には新しい外来・病棟が出来ました。この場所で入社式をするのは、初めてになります。新しい場所で迎えることができて大変嬉しく思います。今年はいよいよ二期工事が始まります。11月までには完成の運びになります。
 昨年以来、病院のブランド化をはかるためにブランディングプロジェクトを立ち上げています。
スローガンは、「Share Change Innovation」
  Share:情報の共有化、わからないことがあればきいて下さい。
  Change:五稜会病院は変化し続けています。
  Innovation:創造です。何か新しいものを創っていきましょう。
 現在(4月1日13時15分)、東海大四高が甲子園選抜の決勝で戦っています。新人のみなさんも甲子園球児と同じように快進撃を続けて頂きたいと思います。(残念ながら、決勝戦は3-1で敗退しましたが堂々の準優勝)皆さんの活躍と五稜会病院の発展を祈って挨拶と致します。
 平成27年4月1日 中島公博

平成27年、新年のご挨拶

 新年、あけましておめでとうございます。初日の出は、新しくなった病院の4階ミーティングルームから眺めました。外は氷点下9度、寒さは一段と強まっています。
 1年の計は元旦にあり。今年1年間の計画をたて、1月には病院スタッフとともに新年交礼会を行い、その中で今年の所信表明、「平成27年の五稜会病院~これからの精神科病院~」を行います。
 さて、平成27年の五稜会病院はどのような年になるのでしょうか。昨今の精神科医療の変化はめまぐるしいものがあります。10数年前とは着実に進歩も遂げています。このような状況の中で、私たち五稜会病院の全てのスタッフは、患者さんにとって良い医療を提供しようと心掛けています。患者さん、その人にあった生活、目標が遂げられるように治療や援助をしていきたいと思います。また、患者さんのみならず職員スタッフのやりがい、満足度も上げられるような1年になってくれれば、有難いことと思います。
 今年は羊の穏やかさにあやかって、安寧な年になることを祈念しています。
(平成27年1月1日:中島公博)

ブランディング プロジェクト

 ブランディング(Branding)とは、「顧客の視点から発想し、ブランドに対する共感や信頼など顧客にとっての価値を高めていく企業と組織のマーケティング戦略のひとつ。ブランドとして認知されていないものをブランドへと育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し活性・維持管理していくこと。またその手法(Wikipedia)」です。
 五稜会病院は、昨今の精神科医療を取り巻く大きなうねりの中で変わって行きます。平成26年4月、改正精神保健福祉法施行による保護者制度廃止、医療保護入院制度の見直し、退院促進など、精神科医療はこれまでに類をみない変革がなされています。精神科医療はこころを病んだ人が治療対象です。患者さんはそれぞれ病状も違います。個々の病前の生活状況を見据え、如何に早期に社会復帰が出来るように援助するかが治療の大きな目標となります。そのためには、治療スタッフが、患者さんやご家族のこころの痛み、ニーズを感じとることが必要です。平成26年5月には新しい外来・病棟の運用が開始されました。病院も選ばれる時代。さらに、精神科医療を創造出来るような人を「創」っていくこと、人を育てることが、病院の医療内容の向上につながり、病院のブランドが確立していく一歩だと信じています。(平成26年6月28日:中島公博)

新外来・病棟完成!!

 平成26年5月21日に新しい病棟、5月26日には新しい外来での運用が開始されました。平成24年度に新棟設計が開始され、平成25年5月17日には好天の中での地鎮祭、建築施行、そして、平成26年5月の新外来・病棟の完成に至りました。コンセプトは外来患者さんの増加に対応した外来機能充実とスーパー救急算定に向けた病棟機能の改善です。手狭で混雑していた外来や病床が少なく入院しても直ぐに転棟を考慮しなければならなかった急性期病棟の病床管理・運営が大幅に改善されます。患者さんにとって、精神科受診への抵抗感がなくなり、落ち着いた環境の中で治療に専念出来るものと思っております。
 精神科医療はスタッフ間の情報共有、コミュニケーションが重要です。4階には全体ミーティング開催や図書室を兼ねた多目的スペースを用意し、新しい医局、心理室とともに五稜会病院の未来を語ってくれる居場所になります。次には二期工事が始まります。新たな治療環境・職場環境の中で、さらなる診療内容の向上に努めていく所存です。どうぞ、新しい外来・病棟を宜しくお願い申し上げます。
 平成26年5月26日 中島公博

平成26年4月1日 新年度開始

 平成26年度になりました。五稜会病院には中堅の精神科医2人を含め多数の新人が入社しました。
以下、五稜会病院の職員を代表しての新人向けの挨拶です。
病院は人創りが大切です。その想いを込めました。
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 新しく五稜会病院に入職されました皆さん、本日はおめでとうございます。
今日は4月1日、五稜会病院が新しく変わる日になります。
1つ目は、今日から消費税が上がります。5%から8%、3%もあがります。
 売店のジュースは110円から120円になります。
2つ目は、診療報酬の改定があります。様々な縛りが出てきます。
 特に療養病棟です。退院支援委員会などの開催が義務づけられています。
3つ目は、改正精神保健福祉法が本日から施行されます。
 明治以来の保護者制度がなくなります。そして、医療保護入院の制度が変わります。
4つ目は、本年5月に新しい外来棟、病棟が完成し、いよいよ引越です。
今年は変革の年になりそうです。
精神科病院も生き残りをかけての戦いとなっています。
新しい病院を創り、人を創って、地域の精神医療充実を図りたいと思っております。
10年後、私たちが五稜会病院に入ったのは、色々と変わった年だったなとこの場で振り返るようになってもらいたいと思います。
皆さんの活躍と五稜会病院の発展を祈って挨拶とします。
”Share Change Inovation” 皆さんと一緒に頑張って行きましょう。
 平成26年4月1日 中島公博

新年の挨拶

 新年明けましてお目出とうございます。今年は午年。どんな年になるのでしょうか。午(ご)とは、十二支の7番目、中間に位置し、草木の成長期が終わり、成熟しつつある状態を表しているのだとか。十二進法では、前半(午前)が終わり後半(午後)が始まる位置にあり、その交差点を「正午」というらしいです。はじめて知りました。
 さて、五稜会病院では、平成26年5月には新しい外来と病棟が完成します。今まで、外来ロビーは混雑して、決してアメニティが良いとは言えませんでしたが、今後は患者さんにとって過ごしやすい雰囲気にしていきたいと存じます。新しい病棟は、現在の急性期病棟と療養病棟が引越となります。急性期病棟は38床から48床になりますので、急性期の患者さんの受入れもよりスムースになり、落ち着いた環境の中で入院生活を送ることが出来るようになるものと思います。病棟の完成とともに、ソフト面の充実も図っていきます。医療スタッフを増員し、さらに診療内容を充実させ、患者さんのニーズに合わせた治療プログラムの開発を試みていきます。
 新年が皆さんにとって、より良い年になるように、安寧した生活が送れることを願って、新年の挨拶としたいと存じます。
平成26年1月2日 中島公博

新ホームページ

 新しいホームページが開設されました。旧バージョンは私自身が平成11年に開設したものです。コツコツとページを作成し、試行錯誤の上でアップロードしたのを覚えています。今度のホームページは五稜会病院職員が委員会を立ち上げ、アイデアを出して作り上げたものです。魅力のある病院の情報発信にしていきたいと思います。どうぞご贔屓にして下さい。

 精神科医療を取り巻く環境は激変しています。本ブログでは、最新の精神科医療情勢や常日頃の思いについて、気ままに記載していきます。

 平成25年12月16日 中島公博

精神科医療の新しい話題

 「相模原殺傷事件被告人に責任能力を認定」   

 令和2年3月16日に開かれた横浜地裁の裁判員裁判では、平成28年7月の相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」の事件で殺人罪などに問われた元職員の植松被告人に対し、完全責任能力を認めました。この事件では、入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負っています。「19人もの人命が奪われ、結果は他の事件と比較できないほど甚だしく重大。計画的かつ強烈な殺意に貫かれた犯行だとして求刑通りの死刑判決を言い渡しました。
 事件の被告人は、事件前に大麻による精神疾患として精神保健福祉法の措置入院になっていたことから、措置入院者の退院後の支援に問題があったのではないかとのことで、厚生労働省により措置入院者の退院後支援のガイドラインが作られたり、精神保健福祉法の改正を推進するなどの施策がとられました(精神保健福祉法の改正は未だなされていません)。
 弁護側は、大麻による精神障害で心神喪失状態だったとして無罪を主張しましたが、判決は「妄想があったとしても程度は軽く、大麻や何らかの精神障害が影響を与えたとは考えられない」と結論。「動機に沿って計画通りに行動し、殺害対象を勤務経験や室内の様子から選別していたほか、予定外の事情が起きても柔軟な対応ができていた」として退け、完全責任能力を認めました。
 責任能力とは、自らの行った行為について責任を負うことのできる能力をいいます。刑法では、物事の是非・善悪を弁別し、かつそれに従って行動する能力です。この責任能力を決めるのは法律判断であって、専ら裁判所にゆだねられるべきこと(専権事項)とされています(最決昭和58年9月13日)。生物学的、心理学的要素についても、究極的には裁判所の評価にゆだねられるべき問題であって、裁判所は精神鑑定書に拘束されないとされているのです。
 「相模原障害者施設殺傷事件」と「責任能力」の小生の資料を提示します。
(令和2年3月20日:中島公博)
 
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「相模原障害者施設殺傷事件」に関して思う」
(北海道医報:平成28年11月)
(日精協誌:平成28年11月)
「気分障害と精神鑑定」(札幌地方裁判所研修会:平成22年2月)
「精神遅滞・発達障害と責任能力」(札幌地方裁判所研修会:平成26年3月)
「弁護士のための統合失調症理解と責任能力」
(札幌弁護士会研修会:平成26年3月)
(法と精神医学懇話会:平成24年3月)
(札幌市医師会医学会:令和2年2月)

精神保健福祉法一部改正と国会審議

 精神科では、精神保健福祉法という法律があり、入院の際にはその法律の則って手続きをする必要があります。内科外科ではそのようなものはありません。病院は医療法、医師は医師法、看護師は保健師助産師看護師法、薬剤師は薬剤師法の法律に規制されています。
 平成26年4月から現在の精神保健福祉法が施行されました。「精神保健福祉法改正後の医療保護入院の実態に関する全国調査」については、厚労省の補助金事業で日本精神科病院協会が委託され、私は担当者として関わり、「改正精神保健福祉法施行(平成 26 年 4 月) に関する業務のためのガイドライン」が発刊されています。この改正精神保健福祉法の大きな目玉は、保護者制度の廃止と医療保護入院の手続き変更でした。3年後の見直し規定があり、実態調査を踏まえて、医療保護入院の市町村長同意の緩和など、現場の負担がないような制度改正を要望していました。
 修正作業の中で起こったのが、平成28年7月26日の相模原の障害者施設殺傷事件です。事件を契機に措置入院の退院後の支援について、もっとしっかりやらないといけないんじゃないかという話になりました。改正精神保健福祉法の一部改正は、平成29年5月には参議院で附帯決議の伴いながらも可決されました。そして、6月には衆議院で成立するはず?だったのです。成立すれば、平成30年4月から施行になっていました。しかし、国会審議では重要法案や森友学園問題、加計学園問題などの審議に時間がとられ、精神保健福祉法一部改正法案は継続審議になってしまいました。厚労省の補助金事業では「措置入院のガイドライン」も法案に合わせて作る手はずでしたが、それも遅延しています。
 国会というのは、三権分立の中で国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関です。国会議員の皆さんへ、法律が決まるのを待っている人々がいるのを忘れないで欲しいものです。
  (平成29年7月26日:中島公博)
 改正精神保健福祉法の一部改正は、平成29年9月の国会解散となれば廃案になってしまいます。せっかく、参議院で附帯決議を伴いながらも可決され、衆議院で審議されることになっていたのに、一からの出直しです。新たな法案は前回とほぼ同じ内容になるのでしょうが、医療保護入院の「家族等」の同意要件の緩和など、臨床現場が負担にならないような制度運用をして欲しい。一方、措置入院については全国統一した入院の適応条件、退院後支援など、対象者と医療現場が困らないような内容にして戴きたい。
(平成29年9月24日:中島公博)

「相模原の障害者施設殺傷事件」について

 とんでもない事件が起こったものです。平成28年7月26日未明、神奈川県立津久井やまゆり園において、元職員が入所中の知的障害者を襲い、19人が死亡し20人を超える方々が負傷したという大変痛ましい事件です。早速、厚生労働省は、平成28年8月「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」を設置し、措置入院のあり方、解除の判断や解除後の支援体制、警察・関係団体との連携などを再検証しました。平成28年9月には、再発防止に向けて措置入院の運用などのとりまとめが行われました(中間とりまとめが公開されています)。
 今回の事件では報道の在り方にも問題があったと思います。警察は犠牲者の実名公表をしていません。犠牲者の人数と性別のみです。障害者への差別や偏見に苦しむ遺族の要望を受けての異例の判断だそうです。われわれは、新聞等の犠牲者の顔写真や氏名をみて、その人のこれまで歩んできた人生を思い浮かべ哀悼の意を表します。その人の人生がまるで無かったかのようで、障害者の対する差別そのもののような気がします。これでは、平成28年4月に施行になった障害者差別解消法の目的に合致していないのではないでしょうか。
 われわれ病院関係者にとっても、様々なことを考えさせられる事件です。犠牲者のご冥福と被害にあった方々、施設の職員の方にお見舞い申し上げます。事件が、医療観察法、措置入院制度の抜本的な見直しの契機になり、また、障害者差別解消法が実際の社会に根付くことを切に願います。
(平成28年9月15日:中島公博)
 日本精神科病院協会誌 [時評] 
 

精神保健福祉法改正後の医療保護入院の実態に関する全国調査

 平成26年4月から改正精神保健福祉法が施行されました。明治以来の保護者制度がなくなり、医療保護入院は、精神保健指定医の判断と家族等の同意での入院になりました。施行前から様々な問題点が指摘されていましたが、平成26年度厚生労働科学研究補助金(障害者総合福祉推進事業)「精神保健福祉法改正後の医療保護入院の実態に関する全国調査」が日精協で実施され、平成27年4月に報告書が公表されています。私は、調査メンバーでしたので、その内容について簡単にご紹介します。
 約1,400の病院のアンケート調査の結果(回答率約50%)、改正法施行後の平成26年4月1日~9月30日まで半年間の入院者は、総入院者数は前年度と同様で任意入院が半数でした。医療保護入院の手続関係では、市町村長同意が前年度比で54.6%と半数になっており、応急入院が86.8%と少なくなっています。385件の事例が報告され、227件の今後の見直し意見が寄せられています。このなかでは、医療保護入院の同意に関する運用関係と市町村長同意に関するものが多数を占めています。施行3年後の見直しに向け、医療保護入院の手続に関し、柔軟な対応を行うことを提言しています。特に市町村長同意の要件見直しは喫緊の課題です。医療機関は、患者と実質的に関わりのある家族等の確認・把握のみで良いこととし、公務員に準ずる資格を有する精神保健指定医の医療判断を尊重し、同意者の獲得が困難な場合(同意する家族等がいない、家族等が認知症、外国に在住など)には、市町村長同意を認めるべきである、としています。
  報告書に加えて、「改正精神保健福祉法施行(平成26年4月)に関する業務のためのガイドライン」が作成されており、日精協のホームページで公開されています。
(平成27年4月25日:中島公博)

公認心理士法案

 平成26年11月21日に衆議院が解散され、投開票は12月14日になりました。この師走の忙しい時に、「何故?」と思った方も多いかと存じます。平成27年10月から予定されていた消費税10%が先送りされたことは有り難いと思いました。この選挙は、安倍首相が就任から2年間進めてきた経済政策「アベノミクス」の評価が大きな争点とのことです。有権者としては、是非を問いたいところです。
 さて、この解散総選挙は精神科医療の施策でも大きな問題を生じさせました。あまり報道はされていませんが、先の国会で審議されていた「公認心理師法案」が廃案になってしまったのです。昨今のストレス社会の中で、精神科医療機関への受診者は増加の一途であり、学校現場や職場での心理的ケアの必要性は言うまでもありません。当院でも常勤・非常勤を含め多数の心理士の先生が活躍しています。精神疾患が5疾病に組み込まれたなかで、心理職の国家資格化については、精神科医療の重要事項であり最も喫緊の課題であるのです。この法案は、関係各位、関係機関、関係団体が長年にわたって論議を重ね、合意形成に向けた努力が実を結んだことで国会上程となりました。国会審議が順調に進んでいれば、もう少しで法案が可決されていたとも言われています。心理士法案が廃案になったため、次の国会では改めて審議することになります。次期国会においては、法案が無修正で再上程され、早期に成立することを強く期待します。
(平成26年12月7日:中島公博)

精神障害者と自動車運転(第3回日本精神科医学会学術大会)

 平成26年10月9日、10日の2日間、愛知県名古屋市で開催された第3回日本精神科医学会学術大会(大会長:舟橋利彦愛知県精神科病院協会会長)のシンポジウムで「精神障害者と自動車運転」の話題が取りあげられました。テーマは「精神障害者の自動車運転に係る諸問題」~医療や行政、産業界はいかに生活を守っていくか~です。

 平成26年5月に自動車運転死傷行為処罰法が、そして、6月には改定道路交通法が施行されました。このシンポジウムは、改正道路交通法や医薬品添付文書の記載内容から、精神障害者が通院をはじめとする日常生活に欠くことのできない自動車運転に、深刻な制限が加わるという危機意識に基づいて企画されました。シンポジストの先生方からは、保健医療福祉、行政、法律、産業界のそれぞれの立場で、自動車運転が必要な精神障害者に何ができるか、何が必要かについての所見が述ベられました。さらに、障害者と自動車運転について詳しい研究を行っている名古屋大学の教授と法律家からも、問題点についての言及がありました。国民誰もが求める安全運転と、どのように共存が可能かを考えさせられた内容でした。

 このシンポジウムの中で、大手自動車メーカーの研究者が、自動車における認知負荷軽減に向けた研究の発表をされていました。丁度新聞には全車種で自動ブレーキなどの衝突回避システムを導入するとの記事が出ていました。安全に運転するためのテクノロジーの進歩、応用が期待されるところです。

(平成26年10月13日:中島公博)

精神障害者と自動車運転

 平成26年6月1日、改定道路交通法が施行されました。一定の病気(統合失調症、低血糖症、躁鬱病、再発性失神、重度の睡眠障害、意識や運動の障害を伴うてんかんの6種)を原因とする事故を防ぐため、安全な運転に支障をおよぼす恐れがある病気にかかっている人等の的確な把握と負担軽減を図るためとしています。これに先立ち、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)が、本年5月20日から施行されています。本法第三条には危険運転致死傷として、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態、または正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で自動車を走行する行為により人を死傷させた場合が規定されています。
 例えば安定剤のホリゾンの場合、医療用医薬品の添付文書情報には、重要な基本的注意として、「眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」の記載があります。抗アレルギー薬のジルテックや総合感冒薬PL配合顆粒も同じです。

 本年5月、米Googleは開発中の自動運転車の試作車を披露しました。ダッシュボード部分にステアリングホイール、ブレーキ/アクセルペダルはなく、ボタンで発車/停車します。また、トヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズなど日米の自動車大手は、自動運転車の実用実験に使う施設を今秋にも共同で建設し、7年後の実用化に向け安全性を検証するそうです。車がないと、どうにも生活が成り立たない地域もあります。地域を活性化させるためにも、運転に支障を来さない状況であれば気兼ねなく運転が出来るような社会になって欲しいものです。近未来は病気や薬のことも考える必要もなく自動運転車が走ることになるのかもしれません。それまでは、疾患のみならず、服薬していての運転を曖昧なものにせずに何らかの基準や制度を設けるべきです。(平成26年7月12日:中島公博)

改正精神保健福祉法 1

 平成25年6月13日、衆議院で可決された精神保健福祉法改正案が、平成26年4月1日に施行(一部は28年4月1日施行)されます。法案では、保護者制度の廃止、医療保護入院の見直し、精神医療審査会の見直しがなされます。保護者制度の開始は100年以上も前の1900(明治33)年まで遡ります。精神障害者の権利擁護のために法改正が繰り返されてきましたが、保護者制度はほとんど見直されず、家族、特に高齢となった親には重い負担を強いてきました。法改正の背景にあるのは、これまで「家族が支える」のが当然とされてきた精神障害者を「地域全体で支える」仕組みへの転換です。保護者制度廃止と併せ、精神科病院の管理者には、医療保護入院者の退院に向けた支援や地域の支援者との連携を義務付けました。

 また、保護者制度を廃止したことに伴い、医療保護入院の要件を精神保健指定医1名の判定と保護者の同意から、精神保健指定医1名の判定と「家族等」の同意に改めることになりました。「家族等」の順位が決まっていないことや受診時に付き添った方と患者さんとの家族関係をどう証明するのかといった「家族等」の同意に関する運用の在り方については様々な議論があります。改正精神保健福祉法が患者さん及び「家族等」にとって利益になるように、病院の手続きに支障を来さないように情報収集をしたいと思います。

(平成25年12月16日:中島公博)

改正精神保健福祉法 2

 改正精神保健福祉法では、厚生労働大臣が「病床の機能分化と精神科医療の提供の指針」を定めることになっています。これによって、精神科病床の人員配置など、これまでにない変革がなされることが予想されます。精神科でも一般内科と同様の医療が中心となっていくようになるのかもしれません。精神科では「精神科特例」というものがあり、入院患者さん48人につき医師1人の割合いの基準があります。内科外科の一般科では16対1ですので、3分の1で良いということなのですが、精神科は病床も多く、精神科医の絶対数が少ないので、なかなか一般科並にはいかないのが現状です。精神科の患者さんは身体疾患と違って医師が常時関わる度合いが少なく、どちらかというと、看護師、心理士、作業療法士などのコ・メディカルの人員を増やした方が良いこともあります。

 五稜会病院では、認知行動療法を取り入れ、臨床心理士のみならず、ストレスケア病棟の看護師が認知行動療法の治療技術を用いています。カウンセリングや心理療法、発達障害などの診断補助として心理士も多数在籍し、PSW、作業療法士などコ・メディカルは充実しています。治療のコーディネーターをするのは、あくまでも医師です。「精神科特例」の状態から抜け出すために、チーム医療を重視した五稜会病院に精神科医療を目指す先生(研修医・他科の先生方大歓迎)が来てくれることを願っています。(平成25年12月16日:中島公博)

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